◆2002.8.9

★真夏の夜の夢
 小さな公園のベンチでサラリーマン風の男が缶ビールを横に置き、酔いつぶれて寝ている。我が家から観測できるところに男は寝ている。もしかしたら死んでいるのかもしれない。こんな公園のベンチで生涯を閉じようなんて、思ってもいなかったことだろう。いやいや冗談、ちゃんと息はあるようだ。
 今、この時代に生きていて楽しいこととか、生きがいなんてあるのだろうか。目的のない壊れかけた機械の部品として、仕方がないから生きていくしかないあわれな男。部品として使われているうちは、まだいい。不要な部品として取り外された男にとって、この夏の暑さはあまりに厳しい。缶ビール一本だけで癒されるものではない。ようやく夜の風にあたりながら、自分がひとりの人間として生きていたときをこのベンチで夢に見ている。
 この男は私であり、私はこの男である。・・・真夏の夜の小さな事件であった。
 P.S.この男がいつの間にか我に帰り、ベンチから姿を消したことはいうまでもないが・・・(EOS D30)


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