2016年07月23日

テレビ

 すっかり、まともに撮影に出かけなくなったため、エッセイ的な文章ばかりになってしまうが、ご容赦を。昨日の午後、点いていたテレビが突然、電源が落ちて消えてしまった。どこにも待機中のランプなど点灯していない。主電源を何度押してもコンセントを抜き差ししても、うんともすんとも言わない。とうとうこの日が来たか。念のため、メーカーのホームページでトラブル対応マニュアルに沿って調べていくと、「修理代は・・・」となる。やはり、壊れたのだ。
 仕事を辞めて真っ先にこのテレビを退職金を使って買ったのだった。9年余り前のことだ。「世界の亀山モデル」と言われたシャープが誇る全盛期のころのテレビだ。その亀山工場が足かせの発端となり、シャープは奈落の底に落ちて行き、台湾企業に身売りするまでに至った。「盛者必衰の理をあらわす。おごれる人も久しからず」というのを実践してみせてくれた。日本の家電業界はこの冬の時代をどう生き残っていこうとしているのだろうか。今後を期待したいが、必要な若く有能な後継者を育成してきたか、にかかっているのだろう。
 団塊の世代が完全リタイアし、高度成長期からつい最近まで支えてきた鍛えられた人材が消滅していく。日本は団塊の世代が中心になって、製造から消費、リーダー育成と常に時代の牽引役を果たしてきたが、2025年には「要介護団塊の世代」となり、日本を沈没させていく要因になるのも確かだろう。
 それにしても、テレビがない生活というのも静かであり、妻とふたりきりで会話が少しは増える、という副産物もある。新しいテレビは同じメーカーの最近のものを注文し、サイズは少し大きく、価格は3分の1に近い安さだ。4Kテレビはまだ手を出すシロモノではない。ふつうのフルハイビジョンで十分だ。まして、スマホもポケモンGOも縁のない人間には、映るテレビさえあれば十分豊かな気分になれる。いや、妻との会話の方がもっと豊かにはなれるのは、もちろんだが・・・2日もすれば新しいテレビがやってくる。(PowerShot S100)

両脇にスピーカーがある亀山モデル

テレビ死に 世話になったと 礼を言い