2022年06月26日

桜桃と夕景

 小ぶりの山形産のサクランボが手に入ったのでありがたくいただいている。3月からドル高円安の続く経済情勢の中でアメリカンチェリーが日本産よりも高いものになってしまった。もともとアメリカのサクランボは赤黒く甘味が強すぎて品のないシロモノだと思っていたからちょうどいい。
 そういえば最近の日本の果物でも野菜でも甘さを追求するあまりにどれもこれも似たような味になってしまい、それぞれの果物、野菜の個性がなくなってきてしまっている。甘くてもいいのだが、酸味や苦味、渋味がうまく残っていないとただの砂糖菓子と同じで面白くない。昔の畑で育った熟しきった露地栽培のトマトはうまかった。今のような甘味はなく、酸味とうま味とで充分に甘さを味わうことができた。
 人間がだんだんヤワになってきていて、少しでも抵抗感、違和感のあるものを拒否する傾向にある。特に食に関するものは、固く渋いものは嫌われ、甘く柔らかくジューシーでさくっとしていなければならないようだ。古代日本人は、どんぐりのようなえぐみの強い固く、噛みしめてようやく甘味を感じるものを多く食べてきた。稲作が定着してからより食べやすいものを追求していくことになったのだろう。
 食の嗜好というのは、子どものころの体験、習慣、記憶で決定的になってしまうものかもしれない。今でもしょっぱい酸っぱい梅干しを作り続けるのもそうした子ども時代の食生活の記憶が今も生きているからだ。それが健康的であるかどうかは別として体に染みついたものはなかなか抜けないものだ。しかし、食習慣ではよく噛んで食べろ、忙しくても味噌汁は飲めなど言われた経験的なことが結果として科学的にも正しいものもあり、日本古来の食習慣を改めて検証するのもいいかもしれない。(SONY a7R3)


我が家で買えるほどだから高価ではないサクランボ


マクロレンズでさらに寄って撮ってみた
サクランボは6月19日の桜桃忌を思い出す


今日は少しだけ焼けた

サクランボ 甘いばかりが 良しとせず
桜桃忌 サクランボ見て 思い出し