2022年10月18日

明治の浮世絵

 妻の実家の古いものをときどき整理している。そろそろケリがついてもいいころだが、整理する人間にもガタがきているので、さっさとはコトは運ばない。体がなんとか動くうちに少しづつ処分している。市の指定ゴミ袋で捨てられる可燃ごみや不燃ごみは何とか自分たちで出すことができるが、大きなものは有料で取りに来てもらうようになる。高齢者や体が不自由で自分で家の外まで運べない場合は、申し込めば市の職員が運んでくれる。
 いろいろ整理している中で、義母が持っていたであろう浮世絵が2点あった。額に入っていたのを外して、絵だけ我が家で保管することにした。2点とも浮世絵の作者を調べると「守川周重(もりかわちかしげ)」という絵師であり、ウイキペディアにも掲載されていた。江戸時代の浮世絵かと思ったら、明治2年から15年にかけて活動した浮世絵師が描いたものであった。歌川周重ともいい、有名な歌川国貞(三代豊国)の孫弟子にあたる。タイトルが「俳優楽語(見立)三十六家撰」とあった。当時の人気のあった歌舞伎役者と落語家を取り合わせた浮世絵ではないか。江戸時代末期からあった体裁で明治14年に描かれたものだ。
 明治十年代などまだ江戸の名残が色濃く残っていた時代であり、新旧入り乱れた状況であった。この守川周重も調べると、明治期の上野博物館を描いたり、薬の広告も手掛けるなど浮世絵師の近代化が始まっていたことがわかり興味深い。(SONY a7R3)

 さて、現代の世の中はいろいろなことが行き詰った末世的な様相を呈している。新型コロナウイルスは変異を繰り返し、ある程度ワクチンが奏功し重症化は減ってきているが、日本もコロナ開国して再び感染者数の増加が始まった。この冬はインフルエンザとともにコロナの第8波が来るのは確実だ。
 そして、ロシアのウクライナ侵攻は挫折しながらも諦めず、冬を前にして依然として膠着状態であり、劣勢を挽回するため戦術核が使用されるかどうかの危惧も出始めている。
 そんな状況を横目に中国の習近平は異例の国家主席3期目を目指し、現在5年に一度の党大会が開催されている。中国はゼロコロナ政策で国民の反発を買い、富裕層の海外脱出組も増え、経済も下振れ傾向にあり、不安定要素は増している。
 日本では岸田内閣がガタガタで統一教会対応が甘く不十分で、国民から見放されつつある。こんなときにマイナンバーカードの実質義務化を打ち出してしまい、反発を喰らっている。これにより現在の健康保険証を2024年秋までに廃止するなどというアホなことを河野デジタル担当大臣は宣言してしまった。個人番号制度は必要なものとなってくるが、顔写真付きの個人番号のカード化とはいっしょくたにして推進する必要はないはずだ。番号制度とカード制度は別物だ。いずれこのマイナカード制度の不都合な点をよく調べて書いてみたい。
 簡単に言えば、この国は何を目指しているのかという大きな目標を示し、それに沿った具体的な手法を年次計画的に国民にわかりやすく説明できていないから、国民は不安で不満なのだ。「成長と分配」の手始めがマイナカード義務化とは結び付かないし、まして、国民年金の保険料納付期間を40年から45年に延長することが成長につながるなどとはツユほどにも思わない。聞く耳を大きくしたために、結果的に周囲の船頭が多くて船山に登る的な状況なのだろう。笑っていられないが、冷ややかに笑うしかない。 


浮世絵の一部をアップしてみた
江戸の彫りの技術がまだまだ残っているようだ


尾上菊五郎と春亭燕柳
5代目菊五郎は明治期に9代目団十郎とともに活躍した
春亭燕柳は明治期の人物としてはネット検索では不明(大正期に同名人あり)


8代目岩井半四郎と初代三遊亭円朝
特に円朝は三遊亭の宗家であり、幕末明治に活躍した落語会の伝説の名人


保存はスケッチブックにトレーシングペーパーでカバーし、固定した
不要な接触がないようにしておきたい

浮世絵に 心躍らせ 息を止め
浮世には 賢人なくて 楽ならず