◆2001.7.5

★さすらい
 
 
炎天下、飼い主から逃れたヒモをつけたままの一匹の犬が交通量の多い交差点の横断歩道を渡っていく。 なぜか、背筋が寒くなるような激しい孤独感に襲われた。この犬は私ではないか、と。
 思考を停止させてしまうような今日の暑さの中、私は信号待ちをしながらこの犬のドラマをめぐらせていた。と、次の瞬間、犬を避けようとして急ブレーキを踏んだ車に後続車が追突してしまった。犬は、一瞬驚き、再びもと来た道を何食わぬ顔して引き返していくのであった。
 自由にさすらうには、まだ、ヒモつきである。首輪もヒモも自らの意思で取り払わねば、自由を得たことにはならない。
 


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