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この季節になると訪ねる横浜市緑区のとある農家のお宅があります。自然と野の花を愛してやまないひとりの女性(テルさん)のお宅です。昨年訪ねたときは、車椅子姿ながらもお元気で過ごされていましたが、今年1月に90歳で亡くなられました。娘さんやお嫁さんなど家族の介護を受けながら、あふれる自然の中で幸せに過ごし、最後を迎えられました。
4月の下旬にもなるとエビネやクマガイソウ、キンランなど美しい野の花たちが広い庭を埋め尽くします。亡くなったテルさんが丹精込めて育ててきた花たちです。残念ながら、もうテルさんとお会いすることはかないませんが、テルさんの意思を継いで、花たちの手入れをしている娘さんが広い敷地の中で自然と対話しています。
今日の午前中は、風はあったもののよく晴れて新緑が柔らかく美しく輝いていました。いつもの庭を拝見する前に、娘さんから「ちょっと行ったところに素敵な雑木林があるの。」と誘われたので、案内されて、細い道を歩いて雑木林の中に入っていきました。近くには東名高速が走る喧騒の現実がありますが、わずかに足を踏み入れただけで、静かで眩しいばかりの新緑の世界が広がっていきます。「ウグイス、鳴き方がだんだん上手になってきたみたい。」ウグイスの声が林の中に響いていきます。まだ、若く淡い緑は心をどこまでも和ませてくれます。
そして、30分ほど散歩して戻り、庭の花たちを見て回りました。とても貴重な花たちが何ともさりげなく咲いており、自生しているかのようです。毎回、この花たちを見ては心が安らかになります。テルさんはもういませんが、花を咲かせる季節ごとに訪ねることを娘さんと約束して、この素敵なお宅を後にしたのでした。(EOS
5D) |
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