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地元である神奈川県大和市に暮らし、野鳥のあふれる泉の森をカメラで追い駆けていると、どうしようもない現実と対峙することになる。隣接する厚木基地に飛来するジェット戦闘機をはじめとする軍用機の存在だ。
墜落の恐怖と騒音被害を我々地元住民に、戦後ずっと与え続けてきた。私が小学生のころ、実際に何度も住宅地や水田に墜落したことがあった。ベトナム戦争が激しいころは、厚木基地へやってくるジェット機も数多く、早朝、深夜に関係なく離発着を繰り返していた。
そして、現在に至るまで、その苦痛はなお続いている。ジェット戦闘機が着陸してくるとき、公園内の鳥たちの声も人々が会話する声も、すべての自然の営みが、その間、内臓をえぐるような地響きと騒音によって断ち切られてしまう。いったい、これを何千回、何万回と経験してきたことだろうか。慣れることはない。無視しようと思っているだけだ。非日常的な出来事が毎日、日常的に起きている。
大和市においてさえ、こうした状況なのに、まして、最重要基地である沖縄の屈辱と苦悩は、太平洋戦争末期と戦後から現在まで、他の日本の地域よりはるかに重く背負ってきたはずだ。アメリカにとって、日本は「敗戦国」である以上、アメリカの防波堤となる役割でしかないようだ。その考えは未来永劫変わることはないとしか思えない。
政権交代がなり、国民はさまざまなことを新政権に期待した。しかし、その期待は見事に裏切られた。民主党政権になってからというもの、この政権は何を目指し、何を国民にもたらそうとしているのか、皆目、見えてこない。沖縄普天間基地の移設を「問題」にしてしまったことから、ややこしくなっている。すでに、辺野古への計画が前政権で日米の合意がなされていたにもかかわらず、それをゼロベースで見直すというのだ。それが沖縄県外や国外もありえるような「甘い期待」を抱かせるような発言が当初あって、混乱に輪をかけている。
どの地域だって、軍事基地が身近にあってもかまわない、どうぞいらしてください、などと言うわけがない。辺野古住民は、おそらく経済問題を含めさまざまな葛藤の中で、普天間の移設受入れ先として苦渋の決断をしてきたはずだ。これは八ツ場ダムの地元住民の決断とも通じるものだ。
しかしここで、辺野古の地元、名護市長選挙で、移設反対を表明する稲嶺氏が当選した。しかも民主党の推薦である。混乱は深まるばかりである。先の衆議院選のマニフェストで民主党は、日米同盟関係について、「日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。」とだけ記している。これはいったいどこまで踏み込んでいく覚悟があるのか、まったく想像も理解もできない。このあいまいな「見直し」が民主党政権の幹部にさまざま身勝手な私的意見を出させてしまった。日米同盟を破棄するのか、永遠に存続させるのか、その考えさえもはっきりしない。
先進主要国のひとつである日本の政権は、基本的な政策でさえ、明確に打ち出すこともできず、まごまごしている。国民は深刻な不況の中で苛立っているが、この新政権の不甲斐なさにも苛立ちを覚え、怒りに近づいている。しかし、自民党へ逆行することももはやできない。泣きを見るのは、やはり、いつも国民である。一方、本家のアメリカでは、オバマ人気も下り坂である。口先の美しい言葉は、双方の国民に色彩豊かな夢も実現可能な現実をも与えてくれはしないようだ。(EOS
5D) |
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