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朧月夜(おぼろづきよ、おぼろづくよ)や朧月は春の季語で、霞んで見える春の月をいうものですが、今夜の月はそんな春の月に近いもので、梅雨の朧月夜とでもいいましょう。そして、今宵は望月、満月の夜。東の空からほどよい角度で登ってくる月をめでてやろうと思ったものの、生憎の曇り空となってしまい、ほんのときおり、雲間に顔を出しては引っ込めてしまう恥じらいのある満月をそっと捉えてみました。
夕暮れのいっとき、花火の音が聞こえてきました。もう、花火大会があるのかと思いましたが、今日は7月4日、アメリカの独立記念日です。毎年、近くの厚木基地やキャンプ座間など在日米軍施設では独立記念日を祝って、日本人も参加できるイベントをいろいろ行っているようです。そのお祝いの花火の音が我が家にも響いてきたのでした。
中学生のころ、一度兄に連れられて基地開放のときに中に入ったことがあります。厚木基地の中は別世界で、アメリカの街がそこにあります。野球場があり、ゴルフ場があり、ゴーカートが走り、家並みはアメリカ映画に出てくる広々とした区画で芝生の庭のある大きな家があります。子ども心に圧倒された記憶があります。アメリカは独立して200年そこらで歴史もない国だとバカにしていたときもありましたが、アメリカという国はこの独立した日からの歴史を大切に人々の記憶に刻みつけ、建物などの歴史遺産もきちんと残しています。
アメリカはとんでもないバカな戦争もしますが、そんな自分もきちんと包み隠さず記録している。全部をリアルタイムで公開しているわけではないが、バカを隠し切ることはしない。日本は、1000年前のものはあっても、この100年余りの歴史さえきちんと残しているとはいえないでしょう。特に軍部が暗躍した時代の昭和10年代のものはあまり存在しないのではないでしょうか。自分にとって負の遺産をいかに忠実に記録し、公開していけるかが、国家の価値を決めるひとつの物差しになるような気がします。
日本は過去も現在も見せたくないもの、見たくないものには封印をするクセしか残っていないようです。そんな姿勢では未来に誇れる現代史を残すことは到底不可能だと言うしかありません。そう、フクシマの3.11から現在、50年後まで一部始終恣意的でない客観的な記録を残していくことが、今この国が最もしなければいけない仕事のひとつのはずです。(EOS
7D) |
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