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今日の日中の天気は、ちょっと昨日よりは暑くはなったものの、凌ぎやすいものだった。ようやく秋が本番になったてきたようだ。先日咲き始めたばかりと思っていた泉の森の彼岸花が花数を増していた。日陰の斜面に咲くこの赤い帯は否が応でも目を惹く。稲作が中国から日本へもたらされたころ、土にまぎれてこの彼岸花の株が運ばれてきて、日本中に広がっていったものだそうだ。全体が有毒性でモグラや害虫を寄せ付けないとされ、田んぼや畑に植えられた。お墓にも植えられ、土葬だった時代、動物に掘り起こされないようにする効果もあったようだ。
私がごく小さいころ、まだ、土葬の習慣があって、お葬式があると、穴掘り役の同じ集落の農民が墓を掘り返し、先代の茶色くなった骨を拾いあげ、新たな遺体の棺桶にともに入れ、荒縄を使って、穴に棺桶を納める、という光景を鮮烈に覚えている。墓の周りには確かに彼岸花の赤い花が咲いていた。この花は、墓の死体の血を吸って赤い花になったのだ、と近所の兄貴分に教えられ、心臓の鼓動が高鳴ったのを覚えている。死者とか死というものが、ごく近い位置にあり、恐怖とともに厳かな畏敬の念を自然と抱くようになったものだ。彼岸花のその鮮烈な赤を見ると、遠い過去の光景がふと甦ってくる。(EOS
7D) |
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相思花ともいう
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花が咲くときには葉がなく、葉があるときには花がない
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花と葉が互いを思いやっているが、逢えることはない
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白花も群生しているが、改良種なのだろう
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観賞用に植えられた彼岸花は赤い帯が見事だ
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でも、彼岸花は必要なところに必要なだけ植えられるのが本来だ
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死体の血を吸って鮮烈な赤を保つ
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ノギクが合い間に楚々として咲いているのに、ほっとする
赤々と 命吸いとり 曼珠沙華
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