2015年05月08日

万緑の候

 現役サラリーマンの方々には申し訳ないが、ゴールデンウィークがようやく過ぎ去ってほっとしているところだ。敢えて混雑しているのが面白いという場合もあるが、私にとっては閑散としている時期にのんびりと歩きたいと思うことがほとんどだ。人ごみに出かけるのを避けているとすぐに体がなまってしまう。とりあえずはいつもの公園で軽く体を慣らすことから始める。
 この時期は、すっかり緑が濃くなっていて、公園は万緑の世界といった趣きだ。名前を確かめようもない草木たちがその生命力を誇示するかのように緑を生い茂らせ、張り巡らし、私たちに気を送ってくれているようだ。もともと私たちは草木とともに共生し、命をつないできたのだから、こうした環境に身を置けばそのときのDNAの記憶が甦るのかもしれない。
 
 去年の連休前、まだ遅咲きの桜の花が残っていたころ訪れた箱根は、今大騒ぎになっている。大涌谷付近の箱根山で火山性地震が頻発し、噴火の危険性が高まっているという。いくら他の地域は安全だとしても、ほぼ観光のみで成り立っている箱根町の打撃は大きい。御嶽山の水蒸気爆発による噴火被害の記憶が生々しく残る現在、気象庁も地元自治体も神経質にならざるを得ない。しかし、自然の営みはやはり人知の及ぶところではなく、未だ明快な答えは出ていない。良くも悪くも自然に生かされていることを人は常に自覚し、その恵みと畏れを受け入れるしかない。(EOS 5D3)

緑の中に水の流れが少しあるとさらに良い

緑のスクリーンを前に癒されていく

杉に絡まる蔦も緑を増してきた

公園の湿地にアヤメが咲きだした

まだミズキの花もそこかしこに白く咲いている

公園の裏手の墓に地蔵様が祀られている

ただ、静けさをかき消すのはいつもこれだ

汗にじみ 万緑の候 息を継ぐ