2015年05月11日

ミス北斎

 杉浦日向子の漫画の代表作「百日紅」がアニメ映画化されると知ったときから公開されるのを楽しみに待っていた。もちろん初日などには行かない。初日の土曜と日曜を飛ばして月曜の朝一番で見に行った。
 結論から言えば、少し物足りなさがあるが、そこに杉浦日向子らしいものを感じたのかもしれない。この物足りなさは不満足だということではない。日向子さん独特の「江戸観」が出ているのだと思う。「えっ!?それで?」という突っ込みたくなる感覚。「百物語」もそうだが、ひとつひとつのストーリーが腑に落ちる形で終了することがほとんどない。ここまで連れて来て、置いてけぼりかよ、という感じなのだ。
 今回のアニメは90分という長編にするには、ある程度の流れのある物語がないと動画の意味がなくなる。そのためか、主人公お栄の妹で盲目の「お猶」という少女が原作にはないシーンも含め、より大きく扱われており、クライマックスとも絡んでくる。ここは監督が充分に考慮しての創作だろうが、原作との乖離感はなく、素直に受け入れられ、観客として思い入れのできるところである。
 江戸の街の様子も浮世絵風であったり、精細な背景画であったりとうまく組み合わせて、空気感を生み出していると思う。できればDVDなどになったときに画面を静止させてよく見てみたいものだ。欲を言えば、もう少し北斎の存在感が欲しかった。娘のお栄が主人公だから仕方がないが、原作はお栄を描きながらも、あくまで北斎が主軸になっていたはずである。日向子さんも省略とか抑制しての表現が多く、原恵一監督も描きすぎないことを心がけた結果なのかもしれない。主人公お栄の声を女優の杏(あん)がやっているが、不器用な生き方しかできない雰囲気がよく出ており、杉浦ファンでもある杏の声はぴったりだったと思う。また、改めて漫画の「百日紅」を読んでいる。
 映画館で映画を見るのも久しぶりのことだ。見終わって外の風景が眩しくて何だか新鮮に見えた。ちょっとタイムスリップから戻ってきたような気分だろうか。たまには映画を見に来よう。もうシニア割引きにもなっていることだし・・・。(PowerShot S100)

隣り街の海老名ビナウォーク
ここの一画にシネコンがある

昼前に 浅き夢見し 江戸の街