◆2015.9.21

★上弦の月

 今日は敬老の日で世間では土曜日以降をシルバーウィークとか称して、5月のゴールデンウィークに次ぐ長期祝日の連休となっている。長期といってもたかが4日や5日である。日本人は相変わらず働き者で、5日間も休みがあったら何をしていいかわからず、帰省やら行楽やら、やたら計画や予定を盛り込み、結果、忙しすぎて少しも休んだことにはならない。そんな忙しすぎる日本人が性に合っているのだから、かまわない。リタイアして8年もすれば、何もしない時間を多くつくるのが一番の贅沢だ。せいぜい、好きな本を選んで数ページ読んだらウトウトして、体がなまると近所を散歩して酒でも買って帰る。何もしなかったことを悔やむこともない。空気や水のように時を費やすことほど楽しいことはない。還暦にはなったが、まだ、「老」とも思わなければ、「敬」と思われるようなこともないだろう。「隠居見習い」といったところか。夜空を見上げれば、ちょうど月が半分の半月、月齢8.24日の上弦の月となっている。我々の世代はすぐに吉田拓郎の「旅の宿」を思い浮かべる。「上弦の月だったっけ ひさしぶりだね 月見るなんて」拓郎のくずれた声と繊細なメロディ、そして、粋な歌詞が高校生の私の脳裏に焼き付いた。(EOS 5D3)

 安保法案が強行採決されてから、何か力や気が抜けたかのように、テレビではシルバーウィークやらラグビーのことやら、楽しい話題を求めている。やはり、日本人はもう忘れようとしているのだ。しかし、戦後の安保政策を大転換する今回の完全なる憲法違反の法律をこのままにしておいていいはずがない。まずは、政府は違憲であることを認め、この法律を撤回し、改めて全国民的な議論を始めるのが妥当だと感じる。個別的自衛権であっても、武力を行使することは同じで、違憲であることには変わりはない。まず、その辺から議論を始め、安全保障環境の変化とはどんなことを指して言っているのか、それがどれだけ具体的に脅威なのか、秘密にしている軍事衝突の実例があれば披露してもらいたい。とにかく、米艦船の邦人移送やホルムズ海峡の例え話は根拠がないホラ話とわかった以上、実際のことを示したうえで、現実的な議論が始まる気がする。もし、万が一、単に米軍に協力して下請けするだけの今回の法律であれば、アメリカにNOを突き付ければいいだけのことだ。日本は自衛のための最低限の軍備はするが、海外に出向くことは、PKOであっても一切やらないことを貫くのが筋である。それが憲法第9条であったはずだ。
 ちなみに内閣支持率調査を拾い集め、表にしてみた。全体として言えるのは、第二次安倍内閣発足当時から支持率は緩やかに減少しているが、不支持率が今回急増していることがわかる。読売新聞世論調査で内閣不支持率が50%を超えたのが興味深い。国民の意識は明らかに変化したのだ。
内閣支持率(2015/09/19-20調査)
新聞社 支持
(今回)
不支持
(今回)
支持
(前回)
不支持
(前回)
支持
(発足時)
不支持
(発足時)
朝日 35% 45% 36% 42% 59% 24%
毎日 35% 50% 32% 49% 52% 26%
共同通信 38.9% 50.2% 43.2% 46.4% 62.0% 21.8%
読売 41% 51% 45% 45% 65% 27%
産経 42.6% 47.8% 43.5% 44.5% 55.0% 28.2%
 ※発足時とは、2012年12月第二次安倍内閣発足の時点
 

今夕の上弦の月

徳利の 首つまんでは 月を見る

[INDEX]