2017年12月12日

クリスマスカードと残紅

 妻の知人からクリスマスカードが届いた。毎年、海外から数枚のカードが届く。今日はデンマークに在住する元は中国系シンガポーリアンからだった。デンマーク人の男性と結婚し、2人の子どもをもうけた。詳しい現在の状況はわからないが、カードはカナダから届いたものであり、平面から立体的になるポップアップものだ。デンマークは「世界一幸せな国」と言われる。税金は高く、食べ物は質素だが、失業や老後を心配する必要のない理想に近い国家なのだろう。
 おそらく知人の家族は長いクリスマス休暇をカナダで過ごし、得意のスキーを楽しんでいるに違いない、と妻はいう。将来を心配しないからお金は貯めずに、どんどん使うから経済が回り、好循環を生む。日本人の気質では到底真似ができない到達点の姿だ。日本人は何かあった場合や老後のためにとお金は極力貯金するのが普通だ。この染みついた固定概念を打ち破るのは日本人には不可能であろう。消費税を10%にするのもビクビクしてやっているのだから。デンマークは消費税25%、所得税55%(国・地方含む)だから、話にならない。しかし、教育から医療、介護などすべて無料。ただし、高度医療には対応できていないという。
 多くを望まなければ、幸福だということだろう。寿司も喰いたい、うなぎや天ぷらもなどと思っている日本人には、ジャガイモと豚肉料理、ライ麦パンの食事には耐えられないだろう。最近は食生活もバリエーションがあるようだが、日本の料理がまともに喰えない国には高福祉国家であっても住む気がしない。こんな私のような日本人がいる限り、日本はガラパゴス化していくのは必然だろう。いろいろな欲望をコントロールでき、不足を不足と思わず、吾唯足るを知る心境にすべての日本人がならない限り、デンマーク人にはなれないのだろう。
 午後にいつもの公園に行ってみた。ごく一部のカエデには紅葉が残っていたが、ほとんどの木々の葉は散り、イイギリの木もほぼ葉を落とし、真っ赤な実をたくさん付けていた。ヒヨドリやツグミたちが飛んできては味見していく。まだ、熟しかたが足りないためか、そうは寄ってこない。やがて、ほかの食べ物を喰いつくすと、イイギリは最後の「食堂」になる。寒さが厳しくなるが、空が澄み、野鳥たちが行き交うこの季節も好きである。(EOS 5D3)

カナダから届いたクリスマスカード
折り畳み式で雪の結晶を花に見立てあしらっている

ふれあいの森の残った紅葉に西日が当たる

ヒヨドリがイイギリの実を口にした
まだ、固くて味がないはずだ

幸せは ひとりひとりで 違うもの