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人は想像力がある動物だ。東京でオリンピック大会が開催され、日本の選手が金メダルを多く獲得して活躍しており、俄かに東京オリンピックが盛り上がってきた感がある。「やっぱりオリンピックを開催してよかった」という流れになっている。
ここで冷や水をぶっかけることにしよう。素直に喜べる人間は幸せだが、私もそうでいたいが、視点を変えて見る必要がある。ひとつ想像してみよう。もし、今回のオリンピックが中国の武漢あたりで開催が決まっていて、コロナ禍の下でも強行せざるを得ない状況になったとする。そして、日本の選手も参加する。柔道、卓球、体操、水泳、スケートボードなど得意な種目の金メダル候補に日本の選手が上がっていたとしよう。しかし、ことごとく、敗退し、銅メダルも入賞も逃したとしたら、同じように「このオリンピックを開催してよかった」と喜べるかどうかなのだ。
人間というものがいかに勝手な生き物なのかがよくわかると思う。東京の選手村の環境、暑さ対策、感染対策、ことごとく最悪と言われており、まだ続くこのオリンピックを日本人の活躍のみを喜んでいる場合ではないはずだ。
そして、インド型（デルタ型）の新型コロナウイルスは、世界も日本も蔓延してきており、日々、病院の感染者対応も逼迫しつつある。各テレビ局が日本人選手の活躍を嬉々として報道する中で、コロナが危機的状況に達しつつある。この矛盾だらけの現状を誰も「もうここでオリンピックを中止しましょう」というメディアや知識人も皆無だ。
日本人選手の涙と笑顔の感動を素直に享受するにはあまりにも最悪な感染状況になってしまったので、トップの人間がこの状況をどう判断するか、にかかっている。菅首相は「五輪やめるのは簡単だ」と言ったが、流れにまかせて開催してしまうことの方がはるかに楽であり、今ここでやめることが一番難しい決断であろう。それができるのは勇気あるトップリーダーだと思う。
もはや正しい道を導くリーダーはどこにも存在しない。やはり、この二度目の東京オリンピックはやるべきではなかったのだ。(SONY a7R3) |
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