2022年05月25日

台湾のトランプ

 家の中の不用品をボチボチ整理しているが、ときどき面白いものが出てきて手が止まる。妻が結婚するよりも前に父親と台湾を旅行したときのお土産物が出てきた。まだ、結婚することになるとは思いもしなかった職場の同僚へのお土産としてだったはずだ。確か1986年か1987年ころだろう。中国の京劇の役者をモチーフにしたトランプだ。まったく封も切らず保存してあった。もう使うこともないし、写真に撮って処分することにした。こうしてときどきブツ撮りするわけだ。
 包み紙には「臺灣省立博物館」とある。1999年に改称された現在の「国立台湾博物館」だ。もともとは日本統治時代の1908年に建設された「台湾総督府博物館」という建物だ。台湾は韓国と違って日本統治時代の建築物などを破壊することなく、文化財、観光資源として活用している。韓国と台湾は対日感情などで日本では好対照に比較される国(地域)だ。
 韓国は日本統治時代の怨念が根強く、終戦後からの反日教育が行き届いている。先のムンジェイン政権のより強い反日政策によって決定的な日韓の亀裂が生じてしまい、修復が困難な状況が続いている。今回政権交代した保守系のユンソクユル大統領がどう解決策を日本に提示できるかがポイントだろう。日本の多くの国民が韓流好きのファンを除き、不信感・不安感を抱きその動向を冷静に見ているというのが現実だろう。
 一方、台湾が単純に親日的かといえば、必ずしもそうではない。妻の父が戦時中台湾で兵隊として駐留していたことは以前記した。比較的友好的ではあったが、植民地にされて心からうれしいわけはない。終戦後、日本軍が引き揚げ国民党軍がやってきてからは乱暴狼藉が頻発し、台湾人の心は日本の統治時代を懐かしむようになる。つまり、比較論の話だ。しかし、現在において韓国と台湾に対する日本政府の対応は明らかに差ができてしまい、台湾をより親密な国(地域ではなく敢えて国という)と見なすようになっている。
 今現在も妻のつながりで台湾には知人がおり、個人的にも親しみを覚える国となっている。そんな思いも馳せてこのトランプを眺めていた。でも、ここで潔く処分させていただく。(SONY a7R3)


台湾の京劇の役者さんのようだ


日本の歌舞伎のような中国の伝統芸能なのだろう


お土産にはこんな京劇の小道具スタイルのペーパーナイフもあった


「臺灣省立博物館」の名称はもうない

台湾の 土産懐かし やっと捨て