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亡くなった義母が入所していた施設近くのスーパーへ久しぶりに買い物に行った。妻が買い物をしている間、私は近くをぶらついた。ある商業施設の庭に百日紅(サルスベリ)の木があって、花を見事に咲かせているのが目に留まった。
この百日紅の花を見ると杉浦日向子のことを思い出す。17年前46歳でこの世を去った江戸文化に詳しい漫画家でエッセイストだ。代表作の漫画「百日紅」は葛飾北斎の娘、葛飾応為・お栄と父北斎や周囲の人間模様などを杉浦が25歳から29歳のときに描いたものだ。
百日紅は花の名前のとおり、主に紅色の花を次々に咲かせ、9月初めごろまで長く咲き続ける。江戸の浮世絵が盛んだったころ、浮世絵師が次々に華々しく現れては去っていく。そのさまを咲いては散って咲いては散っていく百日紅に杉浦はだぶらせたようだ。杉浦日向子自身もまた江戸の浮世絵師のように、記憶に残る燃えるような紅い花を咲かせたまま、本人は永遠の若さで去っていったのだった。(PowerShot
G7X2) |
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散れば咲き 散れば咲きして 百日紅(加賀千代女)
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近くの稲荷神社も訪ねた
桜の木に覆われた境内では蝉の声であふれていた
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コロナになって狐もマスクをしていたが、最近は外したようだ
百日紅 あかあか咲きて 汗ぬぐう
静かさも 耳を覆うや 蝉しぐれ
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