2022年09月30日

夕月夜

 9月もとうとう最後の日となった。明日10月1日からはいろいろなモノの値段が上がる。給料も年金も上がらない中で物価だけが上がっていく、デフレからスタグフレーションへ移行中の日本だ。世界はさらなるインフレがあるが給料も上がっている。日本はごく一部の大企業の給料は上がったとしても99%以上を占める中小企業の給料は上がらない。
 亡くなった安倍さんが言っていたトリクルダウンという富裕層が富めば、貧困層にも富が分配されるというのは、結局幻想に過ぎなかった。金持ちは金持ちのままであり、貧乏人は貧乏人のまま、あるいはさらに貧乏になったというのが、今の日本なのだ。岸田さんが首相就任当時の1年前言っていた「成長と分配」は1ミリも感じられない。泣き言を言いながら、戦争に巻き込まれていない現在の日本の貧しいながらも幸福な状況を是とするしかない。
 夕食後、ベランダから空を見やると、月が西に近い低い位置にいた。何も見えない新月から4日後の三日月だ。厳密には三日月は旧暦毎月3日の月だが、今日あたりは夕方だけ見られる「夕月」といったりする。そうした夕月が見られ夜を「夕月夜(ゆうづくよ)」という。今日の乾燥した空にはよく星が見えた。月の上にも何の星なのかひとつ輝いていた。星が複数見られるのが、何かちょっとうれしい今宵であった。(SONY a7R3)


夕月と星
星はもしかしたらさそり座のアンタレスか
月の陰の部分も見られる月照の現象も

なにとなく君に待たるるここちして
出でし花野の夕月夜かな
(與謝野晶子『みだれ髮』より)