2023年02月14日

ありがたきかな
　妻からのバレンタインチョコレートを撮影するようになって久しい。写真を撮るのが目的になってしまったような「年中行事」ではあるが、ありがたいことだと感謝を込めて撮影後はいただいている。最近のバレンタインチョコ事情はよく知らぬが、今どきの女性は自分チョコが主流なのだろう。職場の人間関係も希薄になってきた現在では「義理チョコ」もほぼ絶滅したことだろう。結構なことだ。
　職場のおじさんたちはもはや「リスキリング」も間に合わず、会社の中では生産性のない重石となって煙たがられているに違いない。有能な中堅は一本釣りされ、高い給料を得られる会社に転職していく。ＡＩだＤＸだと騒がしい今の世では人間関係だけで生きてきた会社人間のおじさんたちは淘汰されていく。労働人口が減る一方で、「不要」とされる人間も増えていく現実がある。
　昔はよかった、義理チョコ賛成、などと言うつもりはない。いつも会社の中をぶらぶらし無駄話をしている先輩や女子社員がおみやげを配っている姿が見られた風景が懐かしい。社会全体が無駄を享受できる余裕があった。無駄と思われる存在や行為が、実はとても貴重な社会の潤滑油であり、必須の要素のひとつだったのではないか。過度な便利さや効率性は、本来人類が目指すべき誰もが生きがいを持って暮らす幸福な人生を奪ってしまうのではないか。
　義理チョコさえ職場から消えた日本の社会は、ジェンダーフリーとかの概念とは別に、殺伐としたディストピアの世界に陥ってしまうのではないかと、職場のおじさんをとっくにリタイアした古希近い前期高齢者は心配している。（SONY a7R3)


今年は和風な雰囲気のチョコであった


ちょっとお皿に盛ってみたりして

妻からの　ありがたきかな　バレンタイン
義理もなく　本命もなく　自分チョコ
ひとつ消え　ふたつ消えゆく　この社会