2023年03月02日

ひな祭り続けて

 毎年の恒例行事が今年も続く。妻は毎年絶やさず小さなひな人形を出しては飾り、供え物のちらし寿司をひな祭り前日の宵宮につくる。近頃はちらしに添えるイクラが高価すぎて「とびっこ」に替えている。彩りが落ちるが気持ちの問題だ。何とか大方健康でここまで夫婦来れたのは幸せというものだろう。ささやかな年中行事は妻のこだわりで可能な限りずっと続けていくようだ。お裾分けにあずかる私は静かに応援している。日常の生活の中で季節感が薄れてきた昨今だが、春を目の前にして「うれしいひな祭り」となっている。(SONY a7R3)

 「子ども予算倍増」の岸田総理の発言が迷走している。何に対して倍増なのか、いつまでに倍増なのか、そして、中味の政策と財源はどうなのか等々、すべてこれから先に考えるようだ。さきごろ発表された2022年の出生数が初めて80万人を切る79万9728人だった。一方、死亡者数は158万2033人でこれも過去最高だった。少子化と人口減少に歯止めがかからない。1990年に公表された合計特殊出生率「1.57人」と戦後最低となった「1.57ショック」から「少子社会」「少子化」が議論されるようになった。それから30年余、何も結果を出せていない。政府の無能さを物語るだけだ。2022年の合計特殊出生率は1.27になった。予算倍増と花火を打ち上げたが、岸田さんは政策案の何ひとつ具体例を示すことすらできない。議論はこれからかもしれないが、首相なら「例えばこんなことを考えている」と言わねばならぬが、言えない岸田さんの不甲斐なさを感じる。
 個人的な結論を言えば、急がば回れ方式で、まずは、国会議員、地方議員、首長は65歳、できれば60歳で辞めてもらうのがいい。古い観念にとらわれ、新しい発想ができず、行動力、実現力のないリーダーは去ってもらうしかない。古老の知恵など固陋であって百害あって一利なしだ。この国の大きな展望、プランを語ることができ、実行に移せる政治家が必要なのだ。残念ながらそれを期待するのはほぼ不可能だ、と確信してしまっている多くの国民は目の前の暮らしに埋没するしかない。絶望的な歳月が流れていきそうだ。
 ひな祭りという女の子の健やかな成長を祈る行事に、お先真っ暗な話題しかない今の社会を嘆くばかりだ。しかし、変えないままでいることも、変えることができるのも今を生きている私たちが背負っている責任であることには間違いないだろう。
 


この人形もすでに70年近くが経過したことになる


栗原霞崖(1861-1939)という日本画家の描いたものらしい


春の花を見ると生命の力強さやありがたさを感じる

巡りきて この春祝う ひな祭り
口開き 議論しますと 議論なく
この国は 行方知れずの 迷い子か