2023年04月01日

さくら間に合い

 昨日、左膝の手術のため入院していた病院を退院した。約3週間ぶりに娑婆の空気を吸うことができた。手術は成功し、術後の経過は想定範囲内の腫れや痛みだ。前回は右膝で別の病院で行ったが状況はほぼ同じだから詳細は省略する。とにかく、こうして今家に戻ってきているのだ。
 今回は人工関節専門ではない通常の整形外科のある地元の中核病院であった。その病棟にはさまざま患者が入院している。ベッドで動けず横になっていると病棟に響く色々な声や音が響いてくる。深夜、夢にうなされたうめき声や認知症と思われる女性の繰り返される叫び声、看護師と患者とのやり取り始めさまざまなスタッフの話し声、足音、カートの音などが24時間絶えず耳に入ってくる。整形外科関連で入院している患者といってもそこには千差万別の生の人間の葛藤、苦悩が渦巻いており、看護師たちの献身的な看護に対し改めて感謝の念を抱いた。
 入院中にソメイヨシノが開花しはじめ、満開を迎えるころもまだ病室にいた。7階の病室の窓からちょうど近くの小学校の桜から遠くの桜並木まで何とか見渡せる場所なので、ささやかな入院中の楽しみとなった。今年の桜の季節はすっかり入院と重なってしまったが、途中の雨や寒さでその花の命が少し伸びたのが幸いだった。
 退院した昨日の午後も自宅周辺を妻の付き添いで2本の杖を使って少し散歩してみた。200メートルほど行った幼稚園の庭に桜が咲いていた。今日の午後はよく晴れていたので、もう少し足を伸ばし、1本杖で近くの私学の小学校まで行ってみた。もちろん妻に付き添ってもらっている。去年撮影した桜たちが今年もまだ咲いていてくれた。うれしかった。何とか桜の季節に間に合ったのだ。コンデジを持つのがやっとだったが、往復1キロメートルほどの道のりを50分ほどかけての小さな旅は、妻との幸福な日常を取り戻したことを実感させるのに充分な旅であった。(PowerShot G7X2) 


青空に映える桜の花はやはり美しい


マリア像近くの桜も満開だ


この桜が近所の目印のようだ


小学校の庭に植えられた桜もまぶしい
これから入学するであろう子どもたちと桜を背に写真を撮っていた


近くにはドウダンツツジの花もたくさん花をつけている


八重桜もあった


カタバミの一種であろうか、黄色が目についた

退院し さくら間に合い カメラ撮る

君が待つ 家のディテール 思い出し
長き不在の よすがとなさん
(入院中につくってみた短歌)