2023年07月18日

とうもろこし

 今年も兄がトウモロコシを持ってきてくれた。長野の友人から送ってきたもののお裾分けだ。実がびっしりと詰まり、外の皮を剥くと薄い半透明の皮と絹糸のようなヒゲに覆われている。そのヒゲはまさに「絹糸(けんし)」というそうだ。この「とうもろこし」という名称がややこしい。「とう」は「唐」であり、中国の意味だ。「もろこし」は「唐黍・唐土」という古くから中国から伝わった穀類だそうで、その言葉自体が「唐(中国)から伝わったもの」という意味もあるそうで、「中国から来た中国のもの」になってしまう。トウモロコシとしては16世紀、安土桃山時代にポルトガルから伝来したものだ。今回も甘味の豊富な上等なトウモロコシをいただき、夕食に少し味わった。その他は冷凍保存してサラダの具として当分の間、じっくりいただくことになる。SONY a7R3) 
 
 マイナンバーカードについて、少し触れたい。国会も閉会してあまり騒がれなくなったが、さまざまなトラブルが生じたマイナンバーカードは風前の灯火に近くなっている。急ぎすぎた、強引すぎた。健康保険証を来年秋に廃止する方針は変わらないという。その代わり、「資格確認書」をカードのない人に送るといい、認知症などで暗証番号が管理できない人には、暗証番号なしのカードも発行するという。これは実質、マイナ保険証の撤退、廃止を意味するだろう。個人番号制度自体の有効性は多様にあるだろうが、「カード」にこだわる必要などありはしない。
 2016年1月から交付の始まったカードは有効10年、電子証明書としては5年で有効期間が切れる。いずれも切れる前に自治体の役所に出向いて更新する必要がある。すでに電子証明書としては使えない人が続出しているだろう。昨年6月から今年2月まで2万円のポイント付与目当てにカードを作った人は2027年7月から順次電子証明書としては更新しなければ失効する。そして2026年からはカード自体の失効が多量に発生する。それに伴い、個人番号が見えないなどの新たなカードを発行し、顔認証の読み取り装置も交換する予定だという。現在のカードもまともに使えないのに、3年後にはさらに混乱が発生する。
 便利になるはずのカードがいちいち役所に行かなければ有効にならない。こんな金と労力の無駄なシステムをよく考えたものだ。どこかで儲けている会社なり組織があって、政治家もいるのだろう。国民にとって悲劇としかいいようがない。地方自治体は住民に影響の大きい新規事業を始めるとき、今では地元住民の意見を構想の段階から意見聴取して施策に生かしているが、国は有識者会議とか審議会とか「息のかかった」賛成前提の会議で物事を決めてしまう。民主主義の形式だけを整えた実質専制主義に近いのが日本政府のやり方だ。民意を汲んでいるはずの国会議員は高額報酬で貴族院なみの扱いで、選挙が終われば国民のことは忘れる。一般国民の本音など聞く耳を持たない。もちろん国民の意見がすべてではないが、時間をかけて説明し、納得してもらい、多くの賛同を得て始めて新しいシステムは始めるべきだろう。今の政治家や政府にその意気込み、熱意がまるでなく、「カードの返納者はほんの微々たる数」「ひも付けが修正されれば、収まっていく」と言い放つ河野大臣のような人には永遠に国民の心を理解することはできないだろう。これが今の日本の政治の実情である。マイナンバーカードシステムについては、今後もよく注目して観察していきたい。
 カードを作るつもりは今のところないが、パスポートをいずれ作ろうと考えている。海外旅行する予定はないが、保険証も免許証もマイナンバーカード化されたとき、カードを紛失したり、スマホが使えないとき、自分が自分であることを証明することが極めて困難になるはずだ。日本人が難民になる可能性も考えて、国際的に通用するパスポートは唯一の存在になるかもしれない。悲観的な発想から考えるのが第一歩だと思う。
 


黄金色に輝くトウモロコシはうまい

トウキビで 炎暑の夏を やりすごし
マイナーな マイナカードに まいったり