2024年07月28日

古書撮影

 相変わらずの猛暑続きで軽い散歩も命懸けだ。しかも、下半身の痛みも軽減する気配がない。なので、またも自宅でブツ撮りだ。
 今回は学生時代になけなしの金でやっと購入した古本の撮影だ。江戸時代の本が主であるが、夏目漱石の「吾輩は猫である」の大正時代の増刷本もある。このころは写真よりも絵や版画に興味のあったときで、いろいろもがいていたのだった。今となっては私の宝物になっている。ときどき開いては、にやにやしている。

 オリンピックも始まり、悲喜こもごもだが、適当に応援している。若く健康な肉体が躍動する美を披露する大会ではあるが、ほとんどの選手がケガの経験者であり、満身創痍で戦っているようだ。まったくもって健康的とは言えないスポーツの世界の異常さにもう少し目を向け、変えていくことが必要なのではないかとも思う。(SONY a7RM3)

為永春水の「いろは文庫」(天保年間(1835年前後)のもの)
色刷りの挿絵(英泉)が少し入っている

夏目漱石「吾輩は猫である」(明治44年(1911年)発行、大正11年(1922年)第82版)
装丁が立派だがもうボロボロである

文字が細かい

大倉書店は江戸の絵草紙屋から近代出版社の代表格となった

これは和綴じの表紙に何も書かれていない本だ
自分で購入した記憶がないので、以前から実家にあったものかもしれない

「増補日本政記」(頼襄子成著)とある
「日本外史」を書いた頼山陽のことである

なぜか押し葉が入っていた
記憶はないが、この和本が押し葉に向いていたのかもしれない
和本はこよりや緩衝材によく再利用されていた

これがもっとも興味深い本だ
オリジナルの表紙ではなく手製のものに取り換えたようだ

表紙を見開くと「大福帳」の文字がある
「午正月吉日」とあり、後掲の裏表紙の表記と照らせば、
安政5年(1858年)戊午に使用された大福帳と思われる

「清玄一代記」という黄表紙・小説の類だ
細かいくずし字は勉強不足で読めない部分が多い

式亭小三馬という作家だが、滑稽本「浮世風呂」で有名な式亭三馬の子供だ
絵師は、歌川国貞という超有名人によるもの
この「清玄一代記」は「国書データベース」にも掲載されていない

持ち主か、狂歌風の添え書きがある
「別品に背中をとんと叩かれて いかる倅はさすが若もの」と商家の遊び人の若旦那っぽい
「花にふく風や こころを隅田川」これはこの本の副題「隅田川」に掛けているのか

巻末の見返しにも添え書きがある
「鉄砲の音のトンタクの〇決戦 しょうたいすすめ トコン拳酒」
意味はよくわからぬが、料亭で拳酒(けんざけ)をして遊んでいたのか

裏表紙
「慶應戊辰年三月吉日 斯?年〇貰〇候 青木栄次郎より?」貰いものか?
慶応4年3月(1868年3月)、
この年の1月、鳥羽伏見の戦いから戊辰戦争が始まり、9月には明治となる
町人はのんびりしていたものである

古書を買ったのは神田神保町の「大屋書房」だった
偶然にも妻の遠縁にあたる

冒頭の為永春水のいろは文庫5巻分

同じいろは文庫の別の4巻もあり、全部で9巻ある

渓斎英泉の挿絵がいい
「仮名手本忠臣蔵」から派生した人情本のように思われる

古き良き 江戸の昔を 楽しみて