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毎年、夏にはときどき妻手作りの冷やし中華を食べ、兄から届いたトウモロコシを蒸して冷凍保存する。コロナがあり、その後何もかもが値上がりして外食もほぼ皆無になって久しい。妻には苦労をかけるが、年金暮らしの身としては致し方がない。しかし、食生活は貧しいと感じたことはない。SNS受けする見映えばかりの食べ物より、妻の料理ははるかに安価でバランスが取れていておいしい、私もたまに作るが。兄からの食材提供もありがたい。
物価高騰で安売りや詰め放題、大盛メニューに行列する一方で、おしゃれな店で数千円もする流行りのかき氷などを食べているのをテレビで見ると、日本は貧乏なのか金持ちなのか、格差拡大なのか、ただの見栄なのか、よくわからない。
話は反れるが、自動車ジャーナリストのコラムで現在の自動車のデザインが「12歳の子ども化」しているという内容を読んだ。「世界の自動車が総『ガンダム化』している」というのだ。つまり、「威圧的で線の多い、どこか“ロボット的”な顔つきが目立ち、わかりやすいかっこよさに傾いたデザインは『文明の成熟の喪失』」だとのこと。
この話に何か腑に落ちることができた。最近の車のデザインは確かにみな角ばって同じようで曲線がなく、優雅さが消えた。吊り上がった狐目のヘッドライトには激しく拒否反応を以前から感じていた。確かにそれは現代社会が子ども化して、マンガ的でわかりやすいものしか受け入れられなくなった文化文明が退化している証拠とも言えそうだ。
金持ちか貧乏かは別として、「わかりやすい」よりも「複雑で奥が深くわかりにくいが味わいがある」ことが大人であり、「かっこいい」よりも「優雅で美しく、儚く繊細である」ことの方が成熟しているのではないか。
車のデザインから建築、家具、雑貨、食べ物まであらゆる現代のモノのカタチが幼稚化しているのかもしれない。目先の利益に終始する企業家たちも模索は続けているのだろうが、成熟、円熟した100年、200年先でも耐え得るカタチをデザインしてほしいものだ。(SONY
a7RM3) |
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妻定番の冷やし中華
皿もあらかじめ冷蔵庫で冷やしておいたのでさらにおいしくいただける
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お裾分けのトウモロコシの実がまぶしい
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これはレンジでチンした2本分、あと3本分もチンして蒸した
この夏も 冷や中喰らう 我が家かな
口に入る 玉蜀黍の 茹で上がり
幼児化の 今のカタチに 未来なく
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