2020/01/26(日)
中国、湖北省武漢市で昨年12月ごろから発生されたとされる新型コロナウイルスがここにきて、全世界へ拡散し、大流行(パンデミック)を起こす恐れがでてきた。コウモリやネズミなど生きた野生動物を買い求め、食する習慣のある中国人は常に感染症のリスクに晒されている。それが食文化なのだから仕方がないが、人から人への感染が疑われた昨年の時点で公表し、対応できなかった中国政府は、世界から非難を浴びた2002年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の轍をまた踏むことになった。最近ようやく、武漢市を閉鎖するなど、独裁国家のなせる手法により、食い止めようとしているが、手遅れ状態であろう。感染率や重症度、致死率は、低いとされ未知数だが、ウイルスの変異により肺炎などの症状が重症化し、致死率が高くなることも予想されている。24日から中国の旧正月の休日に伴う中国人の大移動では、日本に70万人もの観光客が訪れるとされており、27日からは中国から海外への団体旅行は禁止されるようだが、日本へは個人旅行が増えており、ウイルスが無尽蔵に持ち込まれることは、容易に想像される。空港などでの発熱の水際チェックは形式に過ぎず、シャットアウトは不可能だ。現時点で中国政府の国家衛生健康委員会は、死者56人、患者1975人と発表しているが、誰もこんな数字を信じる者はいない。中国の医師の間ではすでに10万人は感染しているとの話もネットで出回っている。独裁国家は、真実をひた隠し、プラスのことは10倍に宣伝し、マイナスのことは、10分の1、100分の1にしか公表しない。そして、日本政府も日本のマスコミもなぜか中国を非難する論調が少ない気がする。事実確認が困難なのは、理解できるが、トーンダウンした表現が多く、習近平国賓訪日や東京オリンピック開催へ向けての「忖度」が働いているとしか思えない。もし、これからこのウイルスによる肺炎患者の重症度が高まり、パンデミックになっていけば、オリンピックどころではない。SARSでは終息に8ヶ月を要している。全世界からオリンピックや観光で訪れる人々が増加傾向の日本では、拡散の中心的役割を果たしてしまうことになるのは必至であり、多くの人間の集中や移動が伴う大規模なイベントは中止せざるを得なくなるだろう。WHO(世界保健機関)は、22日の会議で「緊急事態」とはせず、判断を先送りした状態であり、不透明で遅い対応がこれから悔やまれることになりそうだ。昨年の日本の台風、現在も続くオーストラリアの森林火災・砂嵐、トルコの地震など地球上の人々を襲う災害は、さまざまな形で人類の知恵を試そうとし、強欲で傲慢な人類への謙虚さを求める母なる地球からのメッセージとして受け止めるしかない。 |
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2020/02/03(月)追記
新型コロナウイルスの感染状況は、1週間前に素人が予見したことがほぼ現実となってしまった。2月3日現在の感染者数1万7418人(中国1万7276人・日本20人)、死亡者数362人(中国361人・フィリピン1人)となった。実際の感染者数は50万人以上とも言われている。
一番の問題と思えたのは、「不透明で遅い対応」と感じたWHOの動きであった。エチオピア出身のWHOテドロス事務局長は、母国が多額の援助を中国から受けており、その圧力によって、「緊急事態」を1週間遅らせ、1月30日になって宣言した。そのうえ、テドロスは、「海外旅行や貿易を不必要に制限するよう勧めるものではない」とし、また、「中国が疫病の感染予防に対して行っている努力とその措置は前代未聞なほど素晴らしい」などと褒めたたえている。こんなわかりやすい忖度だらけの癒着関係を見せつけられると、国連とか国際機関は、金を持った大国の言いなりになるしかないのだとつくづく感じる。もはや、WHOは無用の長物であり、各国独自で先手を打つ対応をするしかない。
中国政府は、10日間で本当に1000床の病院を突貫工事で建ててしまうという驚異的な事業を成し遂げたが、まだまだ正確な情報の発信ができていない。繰り返し日本のテレビでは、マージャン台を壊したり、マスクしていない人を警官が取り押さえたり、市民が武漢からの帰還者の家の扉を板でふさいだり、などなど滑稽とも思える映像を垂れ流している。中国政府は、正しい知識・情報を国民に周知する気がなく、反政府運動に発展しないように取り締まることに躍起になっているとしか思えない。
そして、日本政府の対応もさらに、遅くお粗末そのものだ。武漢から日本人をチャーター機で帰還させたのはいいが、相部屋など隔離の仕方があいまいで感染拡大の恐れもあった。新型コロナウイルス感染症を指定感染症として、2月7日施行予定を1日に前倒しするバタバタの対応もお粗末だ。しかも、中国全域に感染者がすでに蔓延している状況で、武漢滞在歴のある者のみを入国拒否とした点など全く無意味な対応だ。症状がでない2次・3次感染等があり、いまだ、ワクチン・薬剤などの対処方法や危険性の見極めが確立できていない以上は、万全の厳しいウイルス対策で臨まねばならないはずだ。それを憲法改正と絡めて、「緊急事態条項」を新設すべきなどと言う与党のやからもいて、問題の本質が見えていない。一時的に経済が停滞しようとも中国及び周辺国経由の中国滞在者の入国を厳しく制限するしかない。結果的に通常の風邪と大して変わらない感染状況や死者数であっても、今は気を緩めるときではまだないのは確かだ。既存の薬による効果も報じられており、また、ピークが4月ごろとも言われているが、その効果の確認や終息に向けての状況変化が確証できないうちは、非常事態は続いていると心に留め置くべきだろう。 |
2020/02/10(月)追記
2月9日現在の感染者数4万553人(中国4万171人、日本96人(ダイヤモンドプリンセス70人含む))、死亡者数910人(中国908人、フィリピン・香港各1人)となり、感染拡大は続き、SARSのときの死亡者数(774人)を超えた。新型コロナウイルスに関して、よくテレビのコメンテーターなどが「正しく恐れる」という表現を使う。わかったようなわからない表現だ。「国民は正確な情報や知識を得て、むやみに恐れず、冷静に対処しなさい」という意味合いだと理解しているが、その正確な情報や知識の流布がマスコミでは足りていない。というよりもこのウイルスの実体が把握できていない、というのが現実であり、厚生労働省のサイトを見てもほとんど参考にならない。実体がわからない以上は、「正しく恐れる」ことさえできないのだ。医師によっては、日本国内では今のところ症状が重症化していないから、そんなに心配しなくてもいいなどと言う。本当にそんなことを断言できるのか、あくまで「今のところ」であり、先のことはわからないのだ。わからないのであれば、非常事態の態勢をもっと充実させるべきだろう。マスクと手洗いだけでは、すまない。日本では今国会が開かれているが、この喫緊の状態の中でのんびりとして桜を見る会の追求などしている。現在の与党安倍政権の独裁体制には辟易とはするが、今はそんな議論よりも、新型コロナウイルスに対する迅速で柔軟な対応ができる法律をすぐさま作るのが、唯一の立法機関である国会の役目ではないのか、と国民の多くは感じている。すでに日本人同士の人から人への感染が明らかになりつつある段階で、武漢だ湖北省だとか言っている状況ではない。すでに経済は停滞し、景気は悪化するのは必至であり、だからこそ迅速な国の対応が求められるはずなのだ。目先の経済やイベントのことを気にしていては、この難局を乗り越えることはできないであろう。 |
2020/02/18(火)追記
2月17日現在、世界の感染者数7万3333人(中国7万2436人、日本520人(ダイヤモンドプリンセス454人含む))、死亡者数1873人(中国1868人、日本・フィリピン・香港・台湾・フランス各1人)となり、日々刻々と増え続けており、その数字は常に更新されている。日本の事態が最悪になりつつある。2月13日に日本国内で初めて、新型コロナウイルス(COVID-19)に感染しての死亡が確認された。渡航歴や感染経路が明らかでない市中感染や、病院での院内感染も出現してきた。昨日になって厚生労働大臣が、「風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている」「強い倦怠感・呼吸困難がある」などの症状がある人は帰国者・接触者相談センターに電話を、と呼び掛けている。この根拠を示さない情報では全く意味をなさず、国民を不安に陥れるだけだ。もうすでに日本国内ではウイルス感染が流行状態であり、誰でも受けられる検査態勢と治療の対応ができる医療施設の確保が重要となっている。こうした態勢を構築するには時間がかかるため、進捗状況の情報を政府機関が常時発信する必要があり、今日の段階ではここまでしかできないと国民に納得してもらわねばならい。そうしたことをせず、「4日以上」とか言っているのは、あまりにも危機管理意識がなさすぎる。病院に殺到するようなパニックを起さないためにも、正直で迅速な情報発信が今必要なのだ。2009年の新型インフルエンザの教訓がまるで生かされていない。昨夜たまたま「感染列島」という2008年に制作された日本映画をネットで見た。そこに描かれた未知のウイルスに感染されパニックに陥った日本列島は、まさしくは武漢市であり、これから起きる1、2週間後の実際の日本を見ているようだった。日本は完全に世界から中国以下の対応しかできない感染対策後進国のレッテルを貼られることになった。常に過去のいやなことを忘れてしまう日本人の悪い部分がまた出てしまった。あとは、国民一人ひとりが自覚して、マスクと手洗いをやるしかない。マスクは効果がないのではなく、汚染された手で顔を触らないようにするためもあり、なければキッチンペーパーの自作のマスクも有効だ。とにかく、事態がここまで来てしまったのだから、自分の身は自分で守ることしかできない。会社や団体などは、勇気を持って感染の山場を避けるべく、仕事の方法を変え、一時休業させたり、イベントを中止していくしかない。 |
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2020/03/01(日)追記
2月29日現在、世界の感染者数8万6018人(中国7万9251人、日本949人(ダイヤモンドプリンセス705人含む)、韓国3526人、イタリア1140人)、死亡者数2942人(中国2835人、日本12人(ダイヤモンドプリンセス6人含む)、イラン43人、イタリア29人、韓国17人、香港・フランス各2人、台湾・フィリピン・アメリカ各1人)となり、感染者は世界64ヶ国・地域と範囲を広げている。そんな中、2月24日にようやく新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が開かれ、ここ1,2週間が瀬戸際とし、日本政府はやっと重い腰を上げた「ふり」をして、昨日29日夕方、安倍首相が新型コロナウイルス対策に関する記者会見を開いた。25日のあいまいな基本方針、26日のイベント等の自粛要請、27日の唐突な学校の一斉休校を要請したのを説明することも含めての記者会見だったが、補正予算ではなく、予備費2700億円を使っての対策をこれから具体的に考えるというお粗末なものだった。この程度の方針は、遅くとも2月上旬には公表していなければならない。「先手先手を打ち」と言いながら、後手後手になってしまった今回の日本における新型コロナウイルス蔓延は、間違いなく、安倍政権による「人災」の様相を呈してきた。
一方で日本国内で国民の不安を増長させているのが、検査態勢への疑問だ。PCR法検査というDNAを増殖させ、陽性か陰性かを検査装置で確認する方法で実施している。この検査を厚生労働省管轄の国立感染症研究所と都道府県の地方衛生研究所とが主に引き受けており、全国で1日3800件の検査が可能だというが、実際は900件しか行われていなかった。研究所が主体となった検査では、保健所と医療機関でのちぐはぐな対応が生じ、実際に症状があって不安を抱える人がすぐに検査を受けられていない。感染者が急増する韓国では、1日に1万3000件を超える検査件数だという。上昌弘医師によれば、日本の民間検査機関では1日10万件も可能だという。厚生労働省は、検査方法含め、治療方針を先の専門家会議に丸投げしており、その会議のメンバーに研究所のOBが複数おり、現実の医療現場の実情や感覚からずれた対応しかできない、という。これが真相だとすれば、海外の検査キットや民間の検査機関の能力を生かし切れない現在の厚生労働省を主体とした新型コロナウイルス対策は、失敗だったと言わざるを得ない。当初から全省庁で取り組み、安部首相が先頭を切るのが筋だったのだ。
後手後手の対応は、本来目先の経済を守りたかったのであろうが、それすら危うくなっており、リーマンショックや東日本大震災のときを超えた経済悪化を招くのはほぼ間違いない。現在、世界各国へ感染が拡大しており、アメリカも爆発的に増える可能性もあり、ヨーロッパではイタリアを中心に拡大しつつある。アメリカのトランプ大統領はウイルスに関してはほとんど関心がなく、大統領選挙に夢中で世界との連携など毛頭考えていないであろう。日本がかろうじて東京オリンピック前までにウイルスを封じ込めたとしても、欧米はこれからが本番のウイルスの蔓延となり、本格的なパンデミックが完成していくのではないか。そうなれば、東京オリンピックも中止せざるを得なくなる。その可能性が大きくなってきた。世界の指導者たちの自国第一主義が経済はもちろんのこと、人々の生命までを弄んだことになってしまいそうだ。 |
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