2020

菅義偉内閣誕生
2020/09/17(木)
 8月28日の安倍首相の病気理由による辞意表明から19日後の昨日9月16日に、菅官房長官は菅内閣総理大臣となり、さっそく組閣人事を行った。安倍政権の継承を謳い、新型コロナウイルス対策と経済再生を最優先課題としつつ、「行政の縦割り、既得権益、悪しき前例踏襲主義を打破し、規制改革する」とした。コロナ対策で明らかとなった行政のデジタル化の遅れでは、デジタル庁を新設し、デジタル行政を一元化し、行政の効率化を図るとのことだ。また、以前から主張している携帯電話料金を下げることにも意欲を示した。その他の政策は、継続的、進展的なことなので特に印象に残らなかった。
 安倍政権時代からも課題となっている「行政の透明性」については、ほぼ触れられていない。モリカケ問題始め、桜を見る会や新型コロナウイルスの専門家会議の議事録非公開など、安倍政権では「公文書の保存と公開」に関しては、「特定秘密保護法」を成立させ、最悪の状況になっており、秘密主義に徹している。行政が残した文書はたとえメモ1枚でも破棄してはならず、適正な保存と公開制度が確立されていなければならない。特に、意思決定過程のやりとりなど誰がいつ何を発言したか、命令したかなどの記録は、すべて残し、公開すべきだ。それらは、すべて「国民の財産」なのだからだ。国民は、いつでもそれらに簡単にアクセスでき、すべて閲覧できなければいけない。国家間の安全保障にかかるごく一部の事項を除いては、すみやかに整理され、過不足なく公開するのが政府のやるべきことであり、厳格な第三者機関を設けるべきだ。河野さんを行革担当大臣にしたなら、まずは、基本フルオープンの公文書公開制度をつくり、さまざまな意思決定過程をあからさまにしてもらいたい。深夜の記者会見などを批判したり、目安箱もいいが、中味のある仕事ができなければ、すぐさま去ってほしい。菅新首相が安倍前首相の財産を継承するならば、外交関係以外はほぼないため、国内行政を一から立て直す覚悟で当たってほしいものだ。官房長官時代のように、同じ答えを繰り返し、本質をはぐらかすようなことは、もうできない。不透明な物言いでは、すぐに先が見えてくるはずだ。1年足らずを死ぬ気で頑張ってもらいたい。その先はないはずだから・・・。
 

安倍首相辞意表明
2020/08/28(金)
 8月28日夕方、安倍晋三内閣総理大臣は持病の潰瘍性大腸炎が再び悪化したことに伴い、「政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはならない」とし、「国民の負託に自信を持って応えられる状態ではなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきでないと判断した」と、正式に辞意を表明した。6月ごろから調子が悪くなっていたとのことだ。確かに、緊急事態宣言解除後から安倍首相の会見などが急に減り、健康状態がよくないだろうことは、傍目にもわかる状況であった。自分の病気で仕事を辞めざるを得ないのは、誰しもが断腸の思いであろう。今後の新型コロナウイルスの状況や混沌とする国際情勢の中で、今、去るのも賢明な判断だと肯定的に見ておきたい。こうした健康の理由で去りゆく者に、非難の言葉を投げかけることはやめておこう。
 3年間の民主党政権がすべてを壊したあと、日本が立ち直ることができたのは、やはり安倍首相の存在があったからであろう。功罪さまざまある中で、日本の国際的地位を高めていったのは、安倍首相の多面的で積極的な外交の役割が大きかった気がする。同盟国であるアメリカのオバマ大統領との戦後の和解やトランプ大統領とは良くも悪くも懇意になったことは大きな功績だろう。中国の習近平とも何とか互いを利用し合う、絶妙な関係を築いていた。ロシアのプーチン大統領へも執拗な北方領土問題のアプローチを諦めることはなかった。韓国の朴槿恵大統領とも何とか慰安婦問題を解決の方向に導いた。北朝鮮の拉致問題では、今回の会見でも中味は口には出せない水面下の外交努力をさまざま続けていたことを物語っていた。しかし、これらの多くのプラス面のことが、今年の新型コロナウイルスの世界的パンデミックにより、ほとんどすべてが吹き飛んでしまった。やはり、心身ともに健康であること、いや、トップであれば、もっと頑健であることが、何よりも増して重要であることを今さらのように教え諭す今回の安倍さんの首相辞意表明であった。何はともあれ、治療に専念し、「一議員」として、日本国民と日本のために、これからも貢献し、役割を果たし続けてもらいたいものだ。
 
 

東京第2波
2020/07/03(金)
 新型コロナウイルスは、依然として世界では感染が広がっている。特に、アメリカとブラジルでは留まることを知らず、今日現在、全世界感染者数約1100万人のうち、約4割の420万人に達している。死者数も世界で52万人、うちアメリカ、ブラジル19万人だ。また、多くの国では都市封鎖を解除し、徐々に経済活動を再開しつつあるが、感染者が再び増加してしまっているのが、最近の状況だ。そして、東京は昨日7月2日、2ヶ月ぶりに感染者100人を超え、107人を記録し、また、本日の速報で124人の新規感染者を出してしまった。日本でもPCR検査がやや容易に行われるようになってきたことも影響あるだろうが、世界各国は始めからPCR検査はしっかり実施しており、それでも増えているのだから、自粛せず、経済活動を優先すれば当然に感染者が増加するのは、誰の目にも明らかだったのだ。それが、現在の結果だと言うしかない。西村担当大臣の昨日の発言では、東京都の感染者100人超えの状況を受け、「もう、ああいう緊急事態宣言なんか、やりたくないですよ。休業もやりたくないでしょ。感染防止対策を徹底してください。また、同じようなことになります。」と怒ったような口調だった。それをテレビのコメンテーターたちが取り上げ、「誰に対して怒っているんだ?」のような声が聞かれた。確かに一部のホストクラブのように、3密を防止する対策が甘く、感染拡大してしまった「夜の街」関係の感染者が多い。しかし、感染力が増してきているであろう最近の新型コロナウイルスは、ごく一部にでも拡散できる感染者がいれば、飛躍的に感染が拡大していくのは間違いない。緊急事態宣言を解除したのは、政府であり、自粛要請を解除したのも政府である。こうなるのは、時間の問題だった。感染者と非感染者を分離して、社会・経済活動していくしかないのに、国民に3密対策ばかり要請するのは、少しずれている。政府は、根本的な検査体制と隔離体制を充実させ、医療に負担を掛けない状況をこの1、2ヶ月で構築していなかったのは、お粗末すぎる。それらが、充実して初めて、感染防止策の飲食店・水商売の業界への徹底教育を経たうえで、もっと長期スパンで段階的に解除していくべきであって、「夜の街」は最後にすべきだった。少なくとも政府の責任で休業補償を8月末まで実施し、様子を見るべきであった。今回、5月下旬に緊急事態宣言を解除した途端に、政府の動きが鈍くなり、専門家会議を廃止するとか、しないとか、分科会を作るとか、今さら言っているが残務整理の如くになっており、すでにやるべきことは、はっきりしていたはずだ。小池東京都知事は、昨日、「感染が拡大しつつあると思われる」という4段階総括の上から2番目とし、「感染拡大要警戒」などとキャッチコピーを作ったが、もうすでに、「東京第2波」の到来だと認めるべきだろう。そして、国といっしょになって、東京および首都圏を徹底的に、検査と隔離を実施すべきだろう。このままでは、手遅れになり、再び医療を圧迫することになる。とにかく、日本政府の危機意識と実行推進能力の低さが露呈された。10万円配って、国民を黙らせることはできない。それさえ、まだ、完了していない。コロナ後の将来展望を本来は期待していきたいところだが、そんなことは今の政府に望むべくもなく、今は目の前の対策を国を挙げてやってもらいたい。東京から全国にこの第2波が、秋からのインフルエンザの季節到来にかけて、拡大していくのは明らかであり、必要な法律は今すぐ国会で制定し、さらなる補正予算策定や予備費の使い方の論議も続けるべきだ。国会議員は、衆議院解散とか選挙のことなどで画策したり、休んでいるヒマはないはずだ。今が日本の正念場であり、ウイルスから国民の命を守る最後のチャンスなのかもしれない、と日本政府は覚悟すべきだ。来年に延期された東京オリンピックも最早実施不可能であり、2024年に先送りするか、中止するしかない。
  最新の世界の感染者数【そのうち死亡者数】)7月3日16時33分現在(米ジョンズ・ホプキンス大学集計)
  世界 1087万4146人【52万1355人】 188ヶ国・地域
  日本 1万9061人【977人】・・・ダイヤモンドプリンセス除く
  アメリカ 273万9879人【12万8740人】
  ブラジル 149万6858人【6万1884人】
  ロシア 66万231人【9668人】
  インド 62万5544人【1万8213人】
  ペルー 29万2004人【1万45人】
  イギリス 28万5268人【4万4080人】
  チリ 28万4541人【5920人】
  スペイン 25万103人【2万8368人】
  イタリア 24万961人【3万4818人】
  メキシコ 23万8511人【2万9189人】
  イラン 23万2863人【1万1106人】
 
 

緊急事態宣言解除
2020/05/26(火)
 5月25日、日本政府は5月末までとしていた新型コロナウイル対策の緊急事態宣言を繰り上げ、1都3県、北海道も含め、全面的に解除することを決定した。出口戦略としての基準らしきものは、1.直近1週間の新規感染者数が都道府県単位で人口10万人当たり0.5人以下 2.医療提供体制 3.検査体制、とのことであったが、神奈川県と北海道は、0.5人を満たしていない。医療提供や検査の体制は、まだまだ不十分であり、第2波以降へ向けて徐々に整備することなのだろうが、結局は、経済を優先、重視した解除ありき、の結論ということであろう。宣言を解除したあとに、段階的な移動制限やイベント、スポーツジム、ライブハウスなどの再開を政府方針として求めるというのは、やり方が逆だろう。宣言解除は、すべての見通しが確実になった最終段階ですべきものだ。あとは各都道府県が法律に基づかない要請を呼びかけていくしかない。東京都は協力金のような豊富な資金はあるが、他の道府県はそんな余裕はないため、神奈川県のように、ステップを踏まず休業要請を全面解除するしかなかった。ほぼ、一か八かの博打のようなものだ。現在の感染者数の減少傾向が日本独特の「同調圧力」による自粛せざるを得ない状況があるという説も納得できる。口には出さなくとも、「自粛警察」的な「空気を読む」「世間の目」「村八分」を気にする日本人の気質がもたらしたものであるかもしれない。それが、安倍首相のいう「日本モデルの力」としたら、何とも情けない話だ。あくまで感染症なのだから、医学的、科学的な根拠が示されるべきだ。専門家会議の感染症専門家はアリバイ作りのためにだけ同席したのか。結果オーライだからよかった、となるとあっという間に気が緩み、すべてを忘れ去るのも日本人気質だ。過ぎたことは水に流し、前を向いて歩こう、というのは個人レベルの諍いの話で、全世界的な課題の前では科学的でなければ通用しない。いい意味で「新しい生活様式」を「同調圧力」により、実現させることしか今、日本国民にできることはなさそうだ。博打では勝負に出れば、客は必ず負ける。胴元が必ず勝つ。この場合、胴元は新型コロナウイルスということになる。
  最新の世界の感染者数【そのうち死亡者数】)5月26日20時32分現在(米ジョンズ・ホプキンス大学集計)
  世界 551万8905人【34万6700人】 188ヶ国・地域
  日本 1万6581人【830人】・・・ダイヤモンドプリンセス除く
  アメリカ 166万2768人【9万8223人】
  ブラジル 37万4898人【2万3473人】
  ロシア 36万2342人【3807人】
  イギリス 26万2547人【3万6996人】
  スペイン 23万5400人【2万6834人】
  イタリア 23万158人【3万2877人】
  フランス 18万3067人【2万8460人】
  ドイツ 18万802人【8323人】
  ※米ジョンズ・ホプキンス大学集計のデータからエクセルで世界各国の感染者数・死者数の一覧表を作成しました。
 まだまだ、世界では、今の新型コロナウイルスは増え続けており、変異もしている。発症までの期間が長くなり、ウイルスは宿主の人間を殺さないように弱毒性になり、感染力を増して生き延びるとも言われている。治療薬やワクチンが、完璧に出来上がらない以上は長い戦いは続く。さらに、全く新しいウイルスも登場するかもしれない。これまでのような自由な各国間の観光やビジネスなどの移動は、より制限的、厳格化されてしまい、世界的不況は避けられなくなる。やはり、アメリカと中国が良くも悪くも今後のカギを握っており、その他の国が協力と牽制のバランスを取りながら、共存していくしかない。真のリーダーが存在しない世界では、綱渡りの緊張関係を維持することで、各国が生き延びるしかないのかもしれない。何とか生き延びる術(すべ)を見い出し、明るい未来につなげたい。
 

新しい生活様式
2020/05/05(火)
 5月4日、安倍首相は新型コロナウイル対策で発していた緊急事態宣言を5月末まで延長すると決定した。この4月7日から約1ヶ月で得た結論は、欧米のように爆発的な感染者の増加ではなく、減少傾向だが、結果が不十分だから、もう少し我慢してくれ、というものだった。どういう条件が揃ったら宣言解除するのかという、いわゆる出口戦略なるものは示されず、補償や追加給付もあいまいで、また、あと10日間様子を見て、期間を短くするかもしれない、などという相変わらず暢気な方針だ。記者会見で首相と同席した専門家会議の尾身氏は、PCR検査を現在も多く処理できない理由を述べていたが、空しい言い訳であって、今後も無理なのだと理解した。要は、いつか治まるから、それまでは、「新しい生活様式」を築いて、がんばりましょう、という国民にとっては、絶望的な内容だ。やれ、テレワークだ、リモート学習だ、ソーシャル・ディスタンスだとか、キャッシュレスを勧めている。そんなの海外の様子を見ながら、すでに実行されつつあることばかりで、手洗い、マスクに至っては日本人なら昔からやっていることばかり。どこが、「新しい」のか、わからない。
 そうした中、今日5日、大阪府の吉村洋文知事(44歳)は、「大阪モデル」として、具体的な出口戦略を示した。主な解除基準として、1.感染経路不明者が1日10人未満 2.陽性者率7%未満 3.重症者ICU60%未満、という明確な数字を示し、そうした状態が直近の平均7日間継続すれば解除できるとした。ひじょうにわかりやすいものであり、政府がこうしたものを示さねばならなかった。経験のない非常事態下にあっては、若いリーダーが柔軟でスピード感のある対応が可能だということだ。その基準が甘ければ、すぐさま修正すればいい。政府のように、いつまでも同じ戦略の延長線上のような方法では通用しないことを理解せねばならない。
 また、安倍首相は、記者会見の中で、博物館や図書館などの使用制限緩和に触れていたが、自分で何を言っているのか、わかっていないとしか思えない。何の具体的な解除基準を示さないまま、1ヶ月以内に緩和などできるはずがない。外出に飢えている人々が開放されている図書館などに殺到し、感染以外でも事故を起こすことは必至なのは、誰が考えても明らかだろう。いずれにしても、来年に延期されるオリンピックも最早、中止せざるを得ない。開催国が日本でなければ、実施できたかもしれないが、未だウイルスの根本的対策が見えない日本では、2年後であっても、オリンピックの開催は不可能であろう。そして、日本の経済は、大打撃を受け、中国へでも出稼ぎに行かねばならぬ日本人労働者が増加していくようになるかもしれない。日本は、明治維新以来、初めて国家が滅亡する危機に瀕していると覚悟せねばならない。
  最新の世界の感染者数【そのうち死亡者数】)5月5日18時32分現在(米ジョンズ・ホプキンス大学集計)
  世界 360万106人【25万1832人】 187ヶ国・地域
  日本 1万5078人【536人】・・・ダイヤモンドプリンセス除く
  アメリカ 118万634人【6万8934人】
  スペイン 21万8011人【2万5428人】
  イタリア 21万1938人【2万9079人】
  イギリス 19万1832人【2万8809人】
  フランス 16万9583人【2万5204人】
  ドイツ 16万6152人【6993人】
 世界では、中国や韓国でかなり終息に近い状況にまで達しているが、秋から冬にかけての第2波が危惧されている。この1ヶ月足らずで、感染者は2倍以上、死者は3倍以上になっている事実は深刻に受け止めねばならぬ現実だ。外国ではかなりやるべきことをやってきた感があるため、やや緊張感が緩んでいるが、日本はまだまだやるべきことが無数にあるため、緊張感を持続させ、迅速で柔軟な対応を見せねばならない。世界は先進国であるはずの日本の失態に注目しているのだ。真に「新しい生活様式」とは、ウイルスだけに対峙する生活ではない。地球温暖化に伴い、人類の活動由来による感染症などを含む自然災害を極力減らしていくための、持続可能な社会の実現を具体的な行動に基づいたSDGsの目標を意識し、日常の生活に取り込み、変えていく必要があるのだろう。目先の対応しか見えない、示せない日本政府への落胆ぶりは、日本国民ばかりではないことを肝に銘じるべきだ。
 

緊急事態宣言
2020/04/08(水)
 昨日4月7日夕方、安倍首相は、現在パンデミックになっている新型コロナウイルスについて、「新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項」に基づく、「緊急事態宣言」を行った。ただし、強制力のない、都市封鎖のない、5月6日まで7都道府県の突き詰めれば、「休業要請」ではない「外出自粛要請」のみであった。経済対策は、給付の申請要件が複雑で支給は5月になるなどの速効性のない、中小企業、自営業者などをすぐさま救えないものだ。額面だけは108兆円などという実質20兆円程度の政府のやる気を感じない内容であった。もう1週間もすれば、日本が終わりそうだ。感染拡大はさらに続き、医療崩壊による国民の命はもちろんのこと、中途半端な自粛要請が経済までを日本政府の判断の遅れと判断ミスですべてを失おうとしている。東京を中心に首都圏が震災や台風でもない目に見えないウイルスによって、滅亡しようとしている。
  最新の世界の感染者数【そのうち死亡者数】)4月9日0時18分現在
  世界 145万3484人【8万3506人】 
  日本 4961人【104人】・・・ダイヤモンドプリンセス除く
  アメリカ 40万323人【1万2911人】
  スペイン 14万6690人【1万4555人】
  イタリア 13万5586人【1万7127人】
  フランス 11万70人【1万343人】
  ドイツ 10万8462人【2025人】
  中国 8万1806人【3333人】
  イラン 6万7286人【4003人】
  イギリス 5万5957人【6171人】
 一方で、中国では武漢が終息したということで、都市封鎖を解除し、お祭り騒ぎになっている。中国の統計や実態など今さら何も信用するに足らないが、無症状感染者を無視しており、それでもかまわないと開き直っており、再度感染が蔓延するのも時間の問題だろう。おそらく、もう公表することはないだろうが。今回、欧米の油断が何といってもはなはだ著しく、特にアメリカの感染者数は爆発的すぎる。BCGワクチンを受けた国が死亡者が少ないとか、アビガンが効くとか効かないとか、研究は続ければよいが、ヘタな希望を国民、世界の人々に与えるより、今一人ひとりができること、手洗いと外出自粛を完璧に続けるしかない。命は復活できないが、命さえあれば経済は復活させることができるはずだ。草刈正雄主演の40年前の映画、「復活の日」を思い出し、改めてネットの映画で見てみた。この映画の設定が、今のウイルスの蔓延は生物化学兵器だとのうわさと同じ内容なのが興味深い。しかも、イタリアのミラノから感染爆発が起きたというのも不思議な共通性もある。ただし、この映画には中国や中国人は登場しない。いずれにしても、人類が初めて共通の敵と戦っている今、各国の思惑、駆け引きはなしにして、治療薬、ワクチン開発に全力を尽くし、一般人は感染しないよう最大限の自己管理に徹底するしない。まずは、1ケ月後の日本が、世界がどうなっているか、じっと見守りたい。

首都封鎖
2020/03/26(木)
 新型コロナウイルスは、今ヨーロッパ、アメリカで爆発的感染が起きている。23日、小池東京都知事は、「都内で大規模な感染拡大が認められた際には、東京都を封鎖するロックダウンも検討する」とした。欧米ではすでに、パリやロンドン、ニューヨークで「首都封鎖」という映画のタイトルのような世界が現実社会で起きており、外出禁止などの市民の行動が拘束されている。そして、昨日25日、41人も急増した東京都の感染者数を受けて、小池都知事は記者会見を開き、首都封鎖を宣言すると思いきや、「夜間や今週末の外出自粛要請」するというのが、主な内容であった。24日、安倍首相とIOCバッハ会長との話で東京オリンピックが、来年夏までの間の開催に延期されたのを待ってのことかもしれないが、都知事のメッセージは弱いものだった。東京都は今日も47人の感染者が増加した。
  世界の感染者数【そのうち死亡者数】)3月26日23時24分現在
  世界 48万5741人【2万2054人】 175ヶ国・地域
  日本 1399人【47人】・・・ダイヤモンドプリンセス除く
  中国 8万2034人【3293人】
  イタリア 7万4386人【7503人】
  アメリカ 6万9197人【1050人】
  スペイン 5万6188人【4089人】
  ドイツ 3万9572人【224人】
  イラン 2万9406人【2234人】
  フランス 2万5233人【1331人】 
  スイス 1万714人【161人】
  イギリス 9537人【466人】
  韓国 9241人【131人】
 事態は、全世界規模で最悪な状況を迎えており、アメリカ、イギリスも含め数十ヶ国が非常(緊急)事態宣言を発令し、緊張感はピークに達している。イタリア、スペインでは感染者の急増により、安定的・継続的な医療提供が不可能になる医療崩壊が起き、死亡者数も多くなっている。これまで野放し状態とも言える東京都がようやくトップの小池知事が動きはじめたが、もはや手遅れになってしまった。東京オリンピックさえなければ、ここまで事態を悪化させずに済んだはずだ。医療体制はヨーロッパに比べれば、かなり充実しているはずだが、人口が集中する東京では、人工心肺装置など重症肺炎患者への提供はスタッフ不足のため、モノがあっても使えない状況になりそうだ。節度をわきまえる日本人の民度に何か頼りきっていた感のある日本政府や東京都は、先日3連休の人出を見て、完全に裏切られたことであろう。今の20歳前後の若者たちは、小学生よりも事態認識能力のない、タチの悪い感染スプレッダーになってしまっている。若者たちにはエリアメールでも何でも送り、もっと「脅し」をかけるくらいの行動制限が必要だ。でなければ、食料など必需品の物流以外を遮断する「首都封鎖」と法的な制限を伴う緊急事態宣言をすぐさま発令、運用・実行するしかない。自分の命と家族や親しい人たちの命を守るため、各個人が自らを律しなければいけない。
 
3月25日
 
3月23日

コロナショック
2020/03/15(日)
 新型コロナウイルス感染症がパンデミック(世界的に流行していること)に突入したと、WHOが3月11日ようやく認めた。ウイルスは中国武漢が発生地だが、中国の力まかせのウイルス封じ込めが功を奏しているのか、情報操作か、中国内ではやや増加が鈍っている。一方でヨーロッパやアメリカで感染が拡大しつつあり、治まる気配はない。3月14日現在、世界の感染者数14万7802人(中国8万932人、日本1434人(ダイヤモンドプリンセス696人含む)、イタリア1万7660人、イラン1万2779人、韓国8086人)、死亡者数5542人(中国3136人、日本28人(ダイヤモンドプリンセス7人含む)、イタリア1266人、イラン611人、スペイン133人、フランス79人など)となり、感染者は世界142国・地域とまさにパンデミックな状態だ。
 そして、経済も目に見える形で落ち込み始めた様相だ。世界同時株安となり、日経平均株価では2月21日2万3386円が先週3月13日終値1万7431円と3週間で5955円下げるという、暴落ぶりであった。そして、アメリカでは2月12日ダウ平均株価が2万9551ドルと最高値をつけたあと、3月12日2万1220ドルと1ヶ月で8331ドルも下げた。もっとも翌日には2万3185ドルとやや値を戻しているが、どう展開していくか不安であり、リーマンショック以来の、まさに「コロナショック」となるかもしれない。中国発の新型コロナウイルスが全世界にパンデミックとして広がり、金融市場をまず直撃し、次第に実体経済へと悪影響を与えるのは間違いないだろう。すでに自粛要請・学校の一斉休校で日本国内の興行関係や新幹線や旅客機などの輸送関係も大打撃を受けている。投資で儲けを当て込んでいる一部の人間が「欲と恐怖のとなり合わせ」で好きにやればよいが、一般庶民を巻き込むような拍車を掛けないでほしいものだ。
 14日に行われた安倍首相の新型コロナウイルス特措法成立後の記者会見では、「現時点で緊急事態を宣言する状況ではない」と慎重だが、東京オリンピックの延期や中止が取り沙汰されている深刻な状況だ。トランプ大統領の言うように1年先に延期するのが、妥当な線であり、中止となれば、日本の経済ダメージはさらに大きくなるだろう。リーマンショック、東日本大震災後の再度の自民党安倍政権誕生で日銀も大規模な金融緩和で手を尽くしてしまい、その後遺症が癒えないまま、ここで打つ手は日銀が札を刷って、金融商品を買いまくるぐらいしかない。それでも危ういかもしれない。台湾の蔡英文総統の采配が高評価を得ている。蔡総統は、SARSでダメージを受けたときの対策メンバーのひとりでもあり、当時からの危機管理の人材が現在も多くおり、いち早く昨年末から対策を始めていた。台湾は感染者50人、死亡者数1人に過ぎない。今からでも台湾に教えを乞う必要もあるだろう。安倍政権のメンツなどどうでもよいから、ウイルス封じ込めと景気の回復をこの1,2ヶ月で目途をつけねばならない。でなければ、失われた20年がここで30年になり、このままでは40年となるのも不思議ではなくなった。若者たちは、夢を持てず、未来を想像することさえできなくなるだろう。誰の目にも見える形で安心材料をすぐさま提示してくれないと、日本国民はもちろんのこと、世界からの目も厳しくなっていくことになる。日本の正念場である。
 

新型コロナウイルス
2020/01/26(日)
 中国、湖北省武漢市で昨年12月ごろから発生されたとされる新型コロナウイルスがここにきて、全世界へ拡散し、大流行(パンデミック)を起こす恐れがでてきた。コウモリやネズミなど生きた野生動物を買い求め、食する習慣のある中国人は常に感染症のリスクに晒されている。それが食文化なのだから仕方がないが、人から人への感染が疑われた昨年の時点で公表し、対応できなかった中国政府は、世界から非難を浴びた2002年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の轍をまた踏むことになった。最近ようやく、武漢市を閉鎖するなど、独裁国家のなせる手法により、食い止めようとしているが、手遅れ状態であろう。感染率や重症度、致死率は、低いとされ未知数だが、ウイルスの変異により肺炎などの症状が重症化し、致死率が高くなることも予想されている。24日から中国の旧正月の休日に伴う中国人の大移動では、日本に70万人もの観光客が訪れるとされており、27日からは中国から海外への団体旅行は禁止されるようだが、日本へは個人旅行が増えており、ウイルスが無尽蔵に持ち込まれることは、容易に想像される。空港などでの発熱の水際チェックは形式に過ぎず、シャットアウトは不可能だ。現時点で中国政府の国家衛生健康委員会は、死者56人、患者1975人と発表しているが、誰もこんな数字を信じる者はいない。中国の医師の間ではすでに10万人は感染しているとの話もネットで出回っている。独裁国家は、真実をひた隠し、プラスのことは10倍に宣伝し、マイナスのことは、10分の1、100分の1にしか公表しない。そして、日本政府も日本のマスコミもなぜか中国を非難する論調が少ない気がする。事実確認が困難なのは、理解できるが、トーンダウンした表現が多く、習近平国賓訪日や東京オリンピック開催へ向けての「忖度」が働いているとしか思えない。もし、これからこのウイルスによる肺炎患者の重症度が高まり、パンデミックになっていけば、オリンピックどころではない。SARSでは終息に8ヶ月を要している。全世界からオリンピックや観光で訪れる人々が増加傾向の日本では、拡散の中心的役割を果たしてしまうことになるのは必至であり、多くの人間の集中や移動が伴う大規模なイベントは中止せざるを得なくなるだろう。WHO(世界保健機関)は、22日の会議で「緊急事態」とはせず、判断を先送りした状態であり、不透明で遅い対応がこれから悔やまれることになりそうだ。昨年の日本の台風、現在も続くオーストラリアの森林火災・砂嵐、トルコの地震など地球上の人々を襲う災害は、さまざまな形で人類の知恵を試そうとし、強欲で傲慢な人類への謙虚さを求める母なる地球からのメッセージとして受け止めるしかない。
 
2020/02/03(月)追記
 新型コロナウイルスの感染状況は、1週間前に素人が予見したことがほぼ現実となってしまった。2月3日現在の感染者数1万7418人(中国1万7276人・日本20人)、死亡者数362人(中国361人・フィリピン1人)となった。実際の感染者数は50万人以上とも言われている。
 一番の問題と思えたのは、「不透明で遅い対応」と感じたWHOの動きであった。エチオピア出身のWHOテドロス事務局長は、母国が多額の援助を中国から受けており、その圧力によって、「緊急事態」を1週間遅らせ、1月30日になって宣言した。そのうえ、テドロスは、「海外旅行や貿易を不必要に制限するよう勧めるものではない」とし、また、「中国が疫病の感染予防に対して行っている努力とその措置は前代未聞なほど素晴らしい」などと褒めたたえている。こんなわかりやすい忖度だらけの癒着関係を見せつけられると、国連とか国際機関は、金を持った大国の言いなりになるしかないのだとつくづく感じる。もはや、WHOは無用の長物であり、各国独自で先手を打つ対応をするしかない。
 中国政府は、10日間で本当に1000床の病院を突貫工事で建ててしまうという驚異的な事業を成し遂げたが、まだまだ正確な情報の発信ができていない。繰り返し日本のテレビでは、マージャン台を壊したり、マスクしていない人を警官が取り押さえたり、市民が武漢からの帰還者の家の扉を板でふさいだり、などなど滑稽とも思える映像を垂れ流している。中国政府は、正しい知識・情報を国民に周知する気がなく、反政府運動に発展しないように取り締まることに躍起になっているとしか思えない。
 そして、日本政府の対応もさらに、遅くお粗末そのものだ。武漢から日本人をチャーター機で帰還させたのはいいが、相部屋など隔離の仕方があいまいで感染拡大の恐れもあった。新型コロナウイルス感染症を指定感染症として、2月7日施行予定を1日に前倒しするバタバタの対応もお粗末だ。しかも、中国全域に感染者がすでに蔓延している状況で、武漢滞在歴のある者のみを入国拒否とした点など全く無意味な対応だ。症状がでない2次・3次感染等があり、いまだ、ワクチン・薬剤などの対処方法や危険性の見極めが確立できていない以上は、万全の厳しいウイルス対策で臨まねばならないはずだ。それを憲法改正と絡めて、「緊急事態条項」を新設すべきなどと言う与党のやからもいて、問題の本質が見えていない。一時的に経済が停滞しようとも中国及び周辺国経由の中国滞在者の入国を厳しく制限するしかない。結果的に通常の風邪と大して変わらない感染状況や死者数であっても、今は気を緩めるときではまだないのは確かだ。既存の薬による効果も報じられており、また、ピークが4月ごろとも言われているが、その効果の確認や終息に向けての状況変化が確証できないうちは、非常事態は続いていると心に留め置くべきだろう。
2020/02/10(月)追記
 2月9日現在の感染者数4万553人(中国4万171人、日本96人(ダイヤモンドプリンセス70人含む))、死亡者数910人(中国908人、フィリピン・香港各1人)となり、感染拡大は続き、SARSのときの死亡者数(774人)を超えた。新型コロナウイルスに関して、よくテレビのコメンテーターなどが「正しく恐れる」という表現を使う。わかったようなわからない表現だ。「国民は正確な情報や知識を得て、むやみに恐れず、冷静に対処しなさい」という意味合いだと理解しているが、その正確な情報や知識の流布がマスコミでは足りていない。というよりもこのウイルスの実体が把握できていない、というのが現実であり、厚生労働省のサイトを見てもほとんど参考にならない。実体がわからない以上は、「正しく恐れる」ことさえできないのだ。医師によっては、日本国内では今のところ症状が重症化していないから、そんなに心配しなくてもいいなどと言う。本当にそんなことを断言できるのか、あくまで「今のところ」であり、先のことはわからないのだ。わからないのであれば、非常事態の態勢をもっと充実させるべきだろう。マスクと手洗いだけでは、すまない。日本では今国会が開かれているが、この喫緊の状態の中でのんびりとして桜を見る会の追求などしている。現在の与党安倍政権の独裁体制には辟易とはするが、今はそんな議論よりも、新型コロナウイルスに対する迅速で柔軟な対応ができる法律をすぐさま作るのが、唯一の立法機関である国会の役目ではないのか、と国民の多くは感じている。すでに日本人同士の人から人への感染が明らかになりつつある段階で、武漢だ湖北省だとか言っている状況ではない。すでに経済は停滞し、景気は悪化するのは必至であり、だからこそ迅速な国の対応が求められるはずなのだ。目先の経済やイベントのことを気にしていては、この難局を乗り越えることはできないであろう。
2020/02/18(火)追記
 2月17日現在、世界の感染者数7万3333人(中国7万2436人、日本520人(ダイヤモンドプリンセス454人含む))、死亡者数1873人(中国1868人、日本・フィリピン・香港・台湾・フランス各1人)となり、日々刻々と増え続けており、その数字は常に更新されている。日本の事態が最悪になりつつある。2月13日に日本国内で初めて、新型コロナウイルス(COVID-19)に感染しての死亡が確認された。渡航歴や感染経路が明らかでない市中感染や、病院での院内感染も出現してきた。昨日になって厚生労働大臣が、「風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている」「強い倦怠感・呼吸困難がある」などの症状がある人は帰国者・接触者相談センターに電話を、と呼び掛けている。この根拠を示さない情報では全く意味をなさず、国民を不安に陥れるだけだ。もうすでに日本国内ではウイルス感染が流行状態であり、誰でも受けられる検査態勢と治療の対応ができる医療施設の確保が重要となっている。こうした態勢を構築するには時間がかかるため、進捗状況の情報を政府機関が常時発信する必要があり、今日の段階ではここまでしかできないと国民に納得してもらわねばならい。そうしたことをせず、「4日以上」とか言っているのは、あまりにも危機管理意識がなさすぎる。病院に殺到するようなパニックを起さないためにも、正直で迅速な情報発信が今必要なのだ。2009年の新型インフルエンザの教訓がまるで生かされていない。昨夜たまたま「感染列島」という2008年に制作された日本映画をネットで見た。そこに描かれた未知のウイルスに感染されパニックに陥った日本列島は、まさしくは武漢市であり、これから起きる1、2週間後の実際の日本を見ているようだった。日本は完全に世界から中国以下の対応しかできない感染対策後進国のレッテルを貼られることになった。常に過去のいやなことを忘れてしまう日本人の悪い部分がまた出てしまった。あとは、国民一人ひとりが自覚して、マスクと手洗いをやるしかない。マスクは効果がないのではなく、汚染された手で顔を触らないようにするためもあり、なければキッチンペーパーの自作のマスクも有効だ。とにかく、事態がここまで来てしまったのだから、自分の身は自分で守ることしかできない。会社や団体などは、勇気を持って感染の山場を避けるべく、仕事の方法を変え、一時休業させたり、イベントを中止していくしかない。
 
2020/03/01(日)追記
 2月29日現在、世界の感染者数8万6018人(中国7万9251人、日本949人(ダイヤモンドプリンセス705人含む)、韓国3526人、イタリア1140人)、死亡者数2942人(中国2835人、日本12人(ダイヤモンドプリンセス6人含む)、イラン43人、イタリア29人、韓国17人、香港・フランス各2人、台湾・フィリピン・アメリカ各1人)となり、感染者は世界64ヶ国・地域と範囲を広げている。そんな中、2月24日にようやく新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が開かれ、ここ1,2週間が瀬戸際とし、日本政府はやっと重い腰を上げた「ふり」をして、昨日29日夕方、安倍首相が新型コロナウイルス対策に関する記者会見を開いた。25日のあいまいな基本方針、26日のイベント等の自粛要請、27日の唐突な学校の一斉休校を要請したのを説明することも含めての記者会見だったが、補正予算ではなく、予備費2700億円を使っての対策をこれから具体的に考えるというお粗末なものだった。この程度の方針は、遅くとも2月上旬には公表していなければならない。「先手先手を打ち」と言いながら、後手後手になってしまった今回の日本における新型コロナウイルス蔓延は、間違いなく、安倍政権による「人災」の様相を呈してきた。
 一方で日本国内で国民の不安を増長させているのが、検査態勢への疑問だ。PCR法検査というDNAを増殖させ、陽性か陰性かを検査装置で確認する方法で実施している。この検査を厚生労働省管轄の国立感染症研究所と都道府県の地方衛生研究所とが主に引き受けており、全国で1日3800件の検査が可能だというが、実際は900件しか行われていなかった。研究所が主体となった検査では、保健所と医療機関でのちぐはぐな対応が生じ、実際に症状があって不安を抱える人がすぐに検査を受けられていない。感染者が急増する韓国では、1日に1万3000件を超える検査件数だという。上昌弘医師によれば、日本の民間検査機関では1日10万件も可能だという。厚生労働省は、検査方法含め、治療方針を先の専門家会議に丸投げしており、その会議のメンバーに研究所のOBが複数おり、現実の医療現場の実情や感覚からずれた対応しかできない、という。これが真相だとすれば、海外の検査キットや民間の検査機関の能力を生かし切れない現在の厚生労働省を主体とした新型コロナウイルス対策は、失敗だったと言わざるを得ない。当初から全省庁で取り組み、安部首相が先頭を切るのが筋だったのだ。
 後手後手の対応は、本来目先の経済を守りたかったのであろうが、それすら危うくなっており、リーマンショックや東日本大震災のときを超えた経済悪化を招くのはほぼ間違いない。現在、世界各国へ感染が拡大しており、アメリカも爆発的に増える可能性もあり、ヨーロッパではイタリアを中心に拡大しつつある。アメリカのトランプ大統領はウイルスに関してはほとんど関心がなく、大統領選挙に夢中で世界との連携など毛頭考えていないであろう。日本がかろうじて東京オリンピック前までにウイルスを封じ込めたとしても、欧米はこれからが本番のウイルスの蔓延となり、本格的なパンデミックが完成していくのではないか。そうなれば、東京オリンピックも中止せざるを得なくなる。その可能性が大きくなってきた。世界の指導者たちの自国第一主義が経済はもちろんのこと、人々の生命までを弄んだことになってしまいそうだ。
 

WORDS TOP