白紙革命 |
2022/11/29(火)
11月24日、中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市で発生した高層住宅の火災によって10人が死亡した。この原因が中国政府が頑強に行う「ゼロコロナ政策」により、建物の出入口が封鎖され、消防車も近づけず逃げ遅れたためだとし、中国国内のSNSで批判と怒りが広がった。北京、上海など10都市以上で政府のコロナ対策に抗議し、A4の白い何も書かれていない紙を掲げる運動が急速に広がり、世界の主要都市でも在住中国人による抗議集会などで白紙が使用されている。言論の自由を求め白紙は検閲されない目的と抵抗する強い意志を示すものとし、白紙運動、白紙革命と言われている。
この抗議運動が習近平の退陣を求め、自由を与えろという内容になり、反政府運動として政権は取り締まりを強化している。1989年の天安門事件以来の民主化運動に発展するのかは不透明であり、10月に3期目を獲得した習近平主席は今回の運動を力ずくで抑えようとしている。もし、ここで運動が治まってきたとしてもゼロコロナ政策による不自由な生活と経済困難な状況がもっと増していけば、国民の不満で確実にマグマは溜まり、大きな噴火になる可能性を秘めている。
習近平は自分自身が文化大革命のとき7年間下放され、辛酸を嘗めてのし上がってきた恐いものなしであり、現在の中国の体制を守るためなら経済も国民も犠牲にすることを厭わない。そして、自分が独裁者として存在し続けなければならない、と確信してしまったのだろう。しかし、現在はネット社会であり、制約はあるものの国内の出来事が海外に瞬時に個人の発信によって伝わり拡散し、在外中国人も情報共有される時代になったのだ。いくら政府が否定し、隠したとしても映像や情報は拡散し続ける。自国発展のために海外留学させた若者たちは、現在の中国のありさまを客観的に見てしまっている。真の自由とは何かを知った中国の若者が命を犠牲にして立ち上がるのは、そう遠くないような気もする。そんな希望的観測をしつつも、今回は香港の民主化運動よりもあっさりと押さえつけられてしまうのだろうとも思う。もっと多くの血が流れないと歴史は前に進まないのかもしれない。憂鬱な歳月が待っているようだ。 |
白い紙を掲げ抗議を示す中国の国民
動画投稿サイト画面より借用
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Twitterなどで見かけるシンボルマーク
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