父が残したネガフィルム |
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私の父が青春であった時代は、まさに太平洋戦争が勃発する前夜であった。昭和16年(1941年)3月、父は、まだ二十歳の若者であった。
それから57年後、平成10年(1998年)3月、77歳で亡くなった私の父は、生前、戦争中のことは多くを語らなかった。亡くなる2年ほど前に闘病中の病の体をおして書いた履歴書のような記録と戦争中に中国の上海から南京にかけて撮影されたと思われる百枚足らずのブローニー版のネガフィルムを残しただけであった。そして、そのネガフィルムの残された画像だけが時を越えて、何かを語りかけているようである。
息子である私は、無口の父が残したネガフィルムを元に、はるか過去の父の想いに触れ、戦争の時代を生きた父の心の中を旅したい、と考えた。
すべてのフィルムをここで一度に解説し、掲載することは困難なので、少しずつ調べながら載せていきたいと思う。写真は、昭和16年(1941年)3月から翌17年3月までに撮影されたものと推量している。
平成15年(2003年)7月18日 |
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